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パート・契約社員の雇用契約期間を決める際の留意点

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パートや契約社員など、期間を定めて雇用する場合の契約期間は、どのように決めていますか?

契約期間は一律1年と決めている企業もあれば、当初は試用期間の意味を込めて6か月にするという企業もあり、契約期間が短い場合だと2か月と様々です。

今回は、パートや契約社員など、期間を定めて雇用する場合の契約期間に関する法律上の留意事項と実務的な対応について解説します。

雇用契約期間の法的上限は原則3年

多くの会社で利用される「パート」「契約社員」は、会社によってその定義が異なることが多いため、まず、用語の定義を整理しておきます。

パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)の定義を用いると、

  • 短時間労働者:正社員より所定労働時間が短い者
  • 有期雇用労働者:期間の定めのある労働契約を締結している者
  • 短時間・有期雇用労働者:正社員より所定労働時間が短く、期間の定めのある労働契約を締結している者

本記事の対象となるのは、有期雇用労働者、短時間・有期雇用労働者の場合のみです。

短時間労働者(パート・アルバイト)は、雇用契約期間の定めがない(無期雇用契約)場合もあります。会社によっては、パートと言っても、無期パートと有期パートの方々が混在している場合があります。

「契約社員」という用語は一般的によく用いられますが、実は法的定義のない単なる通称です。ただ、有期雇用労働者 = 契約社員としている会社が多いため、以下、契約社員という用語を使っていきます。

さて、本題に戻りますが、労働基準法第14条に基づき、契約社員と会社による雇用契約の上限は原則として3年です。

ただし、例外として、専門的な知識等を有する労働者または満60歳以上の労働者の場合は、5年が上限となります。

労働基準法第14条第1項(契約期間等)
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない。
  1. 専門的な知識、技術又は経験であって高度のものとして厚生労働大臣の基準に該当する専門的知識等を有する労働者(その業務に就く者に限る。)
  2. 満60歳以上の労働者

実務的な契約期間の決定方法

ここからは、当事務所がいただいた実務的なご相談です。

  • A社は、契約社員と一律1年間の有期労働契約を締結していた。そのため、
    • 1/15入社のXさんは、翌年1/14までの1年間契約となる。
    • 4/1入社のYさんは、翌年3/31までの契約となる。

A社で問題となったのは、XさんとYさんの双方とも、期限が3/31までの業務に従事していたことです。

Xさんの雇用期間の満了が1/14までであったため、A社が更新を打診したところ、Xさんに拒否されてしまいました。Xさんは期間満了に備えて、早々に次の職場を決めていたのです。A社は、Xさんの雇用期間を更新できると安易に(というより勝手に)考えていたわけです

そもそも、今の時代、優秀な人であれば引く手数多です。仕方なく、A社は、Xさんにせめて3/31まで更新させて欲しいとお願いしましたが、Xさんも次の職場との契約があるため、簡単にOKとは言えません。

前述のとおり、期間の定めのある労働契約の上限は3年です。そのため、雇用契約期間をキリよく1年とする必要はありません

A社は、Xさんとの契約期間を、前年の1/15から翌年の3/31と、1年を超えた期間にしておくべきでした。

また、業務の期限が3/31になることが、Xさんの雇用契約期間の途中で決定されたのであれば、その時点ですぐに、Xさんとの契約期間を3/31までに変更するための打診をすべきでした。

Xさんは契約に従っていただけです。無職になるのは困るでしょうし、早めに次の職場を探すのは当然です。この件の責任は、全面的にA社にあります。

まとめ

有期雇用労働者の契約期間等の労働条件に関するご相談が増えています。

個々の契約期間の満了を3/31など1つの日に設定してしまうと大量離職のリスクもあるため、メリット・デメリットのどちらもありますが、業務への実務的な影響を考えて契約期間を設定することが重要です。

契約社員の期間満了時期を重ねるのではなく、半期ずつという工夫もありますし。

退職は防ぎようがありませんが、少なくともダメージを小さくするための工夫はしておくべきです。

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