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年間休日の平均は110日:厚生労働省令和5年調査

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なぜか年間休日の平均は105日や120日とインターネット上で書かれていたりしますが、それは間違いです。

思い込みやイメージではなく、データを踏まえて正しい状況を説明するのが当事務所のスタンスなので、今回は「令和5年就労条件総合調査結果」を用いて、間休日数のデータをグラフ化して解説します。

年間休日数の平均は何日?

同調査の「年間休日総数」をグラフにしたのが以下の図です。

まず、全体的な結果として、最も多い年間休日数は120〜129日の32.4%、次に100〜109日の31.4%となっています。

規模別に見ると、

  • 100人以上の規模の企業では120〜129日
  • 99人以下の企業では100〜109日

が最も多くなっています。

注意

以下は本来であればグラフが表示されます。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。

見やすくするため、割合の大きな「100-109日」「110-119日」「120-129日」のみ色を付け、それ以外はまとめてグレーにしています。

そして、1企業平均年間休日総数、労働者1人平均年間休日総数は以下のとおりです。

1企業平均年間休日総数(日) 労働者1人平均年間休日総数(日)
令和5年調査計 110.7 115.6
1,000人以上 116.3 119.3
300-999人 115.7 117.3
100-299人 111.6 113.1
30-99人 109.8 111.2

なお、参考までに、令和4年調査では、

  • 1企業平均年間休日総数:107.0日
  • 労働者1人平均年間休日総数:115.3日

となっていたので、今回の調査結果では休日数が増えています。

つまり「年間休日数の平均は何日?」と聞かれたときは、「誰から見たときの平均なのか」ということで以下のように回答は変わるということです。

  • 1企業平均では110.7日
  • 労働者1人平均では115.6日

業種別の年間休日数

「令和5年就労条件総合調査結果」では業種別のデータが集計されていないので、データが集計された中で最近となる平成30年の業種別の年間休日数を整理したのが以下のグラフです。

こうして見ると、全体的には100-109日の業種が多いのですが、

  • 電気・ガス・熱供給・水道業
  • 情報通信業
  • 学術研究、専門・技術サービス業

は120-129日が多いことがよくわかります。

会社の年間休日数は何日?という質問が重要な理由

人事労務担当者として「会社の年間休日数は何日ですか?」という質問にはすぐに回答できる必要があります。

なぜなら、残業代・割増賃金の計算には所定労働日数が必要であり、また法定帳簿である賃金台帳に記載する義務があるからです。

年間休日数は、以下のように計算すればすぐにわかります。

  • 365日(または366日) - 年間所定労働日数 = 年間休日数

つまり、会社の年間休日数を質問されたときに、法定帳簿の賃金台帳が適切に作成されていればすぐに回答できるはずです。

意地悪な言い方ですが、もし質問されて一般のカレンダーを用いて数え始めたら、人事労務初心者とみなされます。この理由については以下の記事で詳しく解説しています。

関連:割増賃金の基礎となる1時間当たりの賃金の計算方法

なお、法定帳簿である賃金台帳の記載項目については以下の記事で解説しています。

関連:賃金台帳とは? 記載事項・保存期間・書き方を解説(記入例あり)

カレンダー通りの年間休日数だと120日前後

驚いたことに、年間休日数の平均日数についてインターネットで調べてみると、平均105日やら平均120日やら妙な数字が飛び交っています。

その内容を見てみると、どうもカレンダー通りに土日祝日が休みの場合の数字として平均120日と言っているようですが、それは平均とは言わないでしょ。。。。

労働基準法と年間休日の関係

たまに質問されるので、労働基準法と休日の関係も解説しておくと、労働基準法の中で休日に関係する規定は以下の部分のみです。

年間休日数ではなく、1週間に1回の休日を与えなければならないとなっているだけです。

年間365日、または366日で考えると、52週に端数が生じるため、少なくとも53日の休日というのが最低限の年間休日となります。

労働基準法第35条(休日)
  1. 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。
  2. 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

ただし、注意しなければならないのは、労働時間の規制、1日8時間、1週40時間という規制です。

年間の法定労働時間については以下のように計算することができます。

  • 365日 ÷ 7日 × 40時間 = 2085.7時間

時間外労働、いわゆる残業がないとして、法定の1日8時間労働として計算すると、年間所定労働日数は260日になるため、年間休日数は以下のようになります。

  • 365日(または366日) - 260日 = 105日(または106日)

この計算によって年間休日数が105日という数字が出てくるわけです。

なお、労働基準法における休日の定義などの基礎知識については以下の記事で解説しています。

関連:労働基準法における休日の定義、法定休日と所定休日の違い

まとめ

今回は、年間休日の平均が105日や120日とまことしやかに言われる理由、そしてそれが間違いであることをデータを用いて解説しました。

統計や法律を踏まえた上で実態を見てみると、意外と面白い発見があると思いませんか?

法律を読むのが好きと言ったら変態と言われたことがありますが、実は統計データを見るのも大好きです。

なお、休暇と休日について混同している方がたまにいますが、休暇と休日は法的にまったく違います。以下の記事で詳しく解説していますのでご参考ください。

関連:休日と休暇の違い・多くの人事労務担当が知らない残業代への影響

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