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沖縄の「すごい経営者」インタビュー・琉球オフィスサービス・藤本和之さん(後編)

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前回に引き続き、沖縄の「すごい経営者」インタビュー第一回・琉球オフィスサービス代表取締役社長・藤本和之さん(後編)の記事を掲載しますので、お楽しみください!

関連:沖縄の「すごい経営者」インタビュー・琉球オフィスサービス・藤本和之さん(前編)

藤本さんと出会ったのは共通の友人主催の飲み会ですが、実はその前から御社の「創業支援 ホームページ無償制作&維持費用6か月間無償」キャンペーンを知って、沖縄にこんなすごい会社があるのかと驚いたことがあります。民間会社が公的機関のような支援をするというのはとてもかっこいいですが、何かきっかけはあるんですか?

自分自身が商売をしているので、事業内容に関係なく、とにかく商売をしている人が好きだし、応援したいという気持ちが強いんです。できることは限られていますが、創業時の厳しい資金繰りやウェブサイトによる認知向上の大切さはよくわかっているつもりです。

その他にも、御社は沖縄県の児童養護施設のウェブサイトを寄贈し無償で運営されていますが、このようないわば公的な活動を自ら行う理由は何でしょうか?

公的機関は、全体的な公平性が求められますが、民間が自費で行う場合は、自分でやりたいことを自由に行えます。例えば、最初は弊社の所在地がある那覇の施設に限定して支援するといったこともできるわけです。

また、弊社では、ウェブサイトの寄贈・運営以外にも、PCやタブレットを寄贈したり、WiFiをつなげたりといった活動もしていますが、まだまだ大きなインパクトを出せているわけではありません。

実際に施設を訪れると衝撃を受けると思いますよ。現在、沖縄には8施設あり400人の子供たちが施設に入っているらしく、そのうちの約5%、20人程度が毎年18歳になるということです。18歳になると施設から卒業することになるんですが、そのときに困るのが、アパートを借りる初期費用や保証人が用意できないこと、それと自動車免許を取るための費用がないということなんです。

そういう問題を、弊社が大きな利益を稼ぎ出すことにより、一掃できるんじゃないかと。

11期目以降の、弊社というより個人的な目標に近いですけど、沖縄県内の児童福祉に僕個人の力や時間を注ぎたいと思っています。偽善やきれいごとだと思われるかも知れませんが、児童福祉は慈善というより個人としての願望です。 児童福祉にはまとまったおカネが必要です。それをポンと捻出できるくらい今のWeb事業を稼げる事業にしなければいけません。

濃すぎる内容に衝撃を受けっぱなしですが、御社の人事・マネジメントについてそろそろお伺いします。人事・マネジメントで工夫されていることを教えてください。

弊社は、現在10人規模の会社であり、人数は少なければ少ないほどいいという理念です。今6期を迎えていますが、10期で25-30人程度と予測しています。

人事と会計はかなり重視しており、組織を運営する上で必須だと思っています。人事面で、キーワードを挙げていくと「公平性」「透明性」「環境整備」「誇り」です。

環境整備というのは、先程触れた仕組みづくり、顧客満足度を追求することが会社と従業員の利益につながるということと同じです。

誇りというのは、社員が自社のサービスに自信を持ち、家族や親戚、友人に対して、「こんな会社に勤めている」と堂々と言えるような会社でありたいということです。

以前、弊社の社員が、同業他社の友人に「お前の会社、むかつくけど良いサービスだよな」って言われたらしいんです。

この話を聞いてすごく嬉しかったですね。営業担当がお客様に対して自信を持ってオススメできるようなサービス、そんなサービスをきちんと提供できているって実感がわきました。

社員が営業しているときに、心の中で「本当はオススメしたくないけど仕事だから仕方ない」なんて思っていたら可哀想です。だから社員が、誇りを持てるような会社として存在し、誇りを持てるようなサービスを展開しようと常々思っています。

でも、それ以外は何もやっていませんね。。。はっきりいって社長が一番何もしていません(笑)

朝礼もしないし、会議もほとんどしませんし。弊社の社員は本当に優秀です。だから邪魔をしないことにしています。目標を示したら後は邪魔をしない、これを基本にしています。

目標を示し、日々のマネジメントをしなくても、社員が自律的に動くというのは理想ですが、まさにそれを実践しているんですね。仕事柄、マネジメントの実態を知ることが多いのですが、自律的と言いながら実態は単なる放任状態という会社は多いです。マネジメントをしようにもそのやり方がわからないという会社も多いです。そういう意味では理想的な状態ですが、目標の設定は難しそうですね。

目標を示すときには、達成するためのストーリーも説明しています。これまで何度も目標を示していますが、示した瞬間、社員はかなり引いた表情をしてます(笑)

ただ、「理屈上はできる」と根拠も示すと、社員は実際これまで示してきた目標を達成してきていて、自信も持っているので、「じゃあやってみよう」と納得してくれます。優秀ですから!

それと困ったときは物事をゼロベースで考え、むしろ目標を上げるようにしています。

例えば、1か月当たりの目標受注件数が20件だったのに、その時点での達成が15, 16件だったとします。そんなときは目標を40件にします。

そうすると、同じやり方では絶対に達成できません。異なる方法を考えざるを得ないんです。そのようなやり方を行うようにしていますが、驚くことに、社員は実際に達成するんですよ。やっぱりうちの社員は優秀です!

それに、弊社はゼロ残業、定時終業です。そのため限られた時間の中で厳しい目標をクリアしていかないといけないんです。決して雰囲気が悪いわけではないですが、みんな必死に仕事をしないと終わらないので、結構社内の雰囲気は張りつめていると思います。厳しい社長なんです(笑)。

売上と社員数のバランスを考えると小規模企業では変動が大きくなるので、10人規模の会社で残業ゼロを掲げるというのはかなり覚悟が必要ですね。厳しい目標を掲げるというのは人材育成も意識してということかと思いますが、人事データも積極的に公開されていますし、採用や人材育成ではどのような点を工夫されていますか?

人事データで平均年齢や離職率などを公開していますが、実は試用期間中に30%程度の方が自ら辞退しています。

平均的な沖縄の企業からすれば待遇は決して悪くはない方ですが、仕事は大変な方だと思います。定時終業なので労働時間という量ではなく、仕事の内容、つまり質の面で社員は大変でしょう。

また、人材育成は弊社の課題です。弊社は残業ゼロを掲げていますが、自分自身が長時間働く中で成長したという実感もあるので、18時に退社する人と深夜まで働いている人の数年後を比較すると、やはり長く働いた人の方が成長しているだろうと思います。

そもそも組織が人材を育てることができると考える方がおこがましいかもしれないですし、悩んでいるところです。

給与面では、先程、3つのNo1を目指すという目標をご紹介しましたが、その中の一つに「県内情報関連企業最高の待遇」というのがあります。実は、5期の目標として、琉球銀行、沖縄銀行の30才時点の平均年収を超えるという目標を掲げ、無事に達成したんです。

次は、10期の目標として、琉球銀行、沖縄銀行の平均年収、これは年代の制約をはずすともっと上がりますので、それを超えるという目標を掲げています。給与・待遇面でも妥協せず最高を目指していこうと思っています。

固定給+インセンティブということですが、計算基準は示されているんでしょうか?

職種によって要素は異なりますが、Web制作の継続率など10個程度の要素から構成される計算式で算出しています。給料額も全てオープンで全社員がお互いの給与を見られます。計算式は定期的に見直しており、基本はプラス調整です。給与を上げることがミッションの一つですから。

長時間のインタビューにお付き合いいただきありがとうございました。

所感・最後に一言

「すごい経営者インタビュー」の第一回を、無事に掲載でき、正直、ホッとしています。

前編の冒頭でも書きましたが、沖縄は創業率が高く、経営者の方にお会いすることが多いのですが、ほとんどの方が良い意味で変わっています。

飲み会などでちょっと話を聞くだけでも十分面白く、じっくりインタビューしたらもっと面白い話を聞けるかもということで、この企画をはじめたわけですが、実は自分自身が最も楽しんでいる企画です(笑)

そして、構想当初からこの企画の第1回目は、絶対に藤本社長と決めてました。

藤本社長から醸し出される「生まれながらの商売人」といった雰囲気もさることながら、本編でも出てきました「創業支援」などの社会貢献など、公的な立場にいた私から見てもまさに共感する経営者です。

また、藤本社長自身も、ご自身の事業を「商売」と言われており、起業という言葉だとしっくり来ないそうです。

緻密なシミュレーションをもとに、まるでゲームのように、一つ一つの目標をクリアしていく、そんな堅実な有言実行に、多くの人たちが魅了されるんだろうと、インタビューをして改めて感じた次第です。

実は、あまりにインタビューが楽しすぎて、このインタビューは4時間も行ってしまいました。。。今後は、単に楽しむだけでなく、段取りなどをきちんと考えないといけないと反省しきりです。

これからも引き続き、株式会社 琉球オフィスサービスさんを応援していきたいと思いますし、ご覧の皆様にもぜひ応援をお願いしたいと思います。

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