中小企業の退職金制度の状況(東京都による調査結果)・退職金制度ありは70%

こんにちは。福岡の社労士・安部敏志です。

今回は、中小企業における退職金制度の状況をまとめた統計・調査結果をご紹介します。

この調査結果は、従業員10人~299人の都内中小企業を対象に、東京都労働情報センターにより行われたものです。中小企業に特化した調査で、しかも退職金制度に関する調査というのは珍しいもので大いに参考になるでしょう。

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中小企業における退職金制度の状況

退職金制度について「制度あり」と回答した企業は69.8%、「制度なし」と回答した企業は29.5%です。

また、「制度あり」と回答した企業の70.4%が、「退職一時金のみ」と回答しており、25.9%が「退職一時金と退職年金の併用」と回答しています。

以下の記事でも紹介していますが、大企業を含む全国的な調査結果である厚生労働省による統計では75.5%となっているため、大きく数値が変わらない結果となっている点は興味深いところです。

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中小企業における退職金の積立

退職一時金制度の積立方法としては、「社内準備」と回答した企業が63.1%で最も多く、次いで、「中小企業退職金共済制度」と回答した企業が50.2%です。なお、複数の方法により積み立てることが実態として多いので100%は超えます。

また、退職年金の場合は、確定拠出企業年金(企業型)、確定給付企業年金がほぼ同じ、その次に厚生年金基金となっています。

退職金の算出方法

退職一時金の算出方法としては、圧倒的に「退職金算定基礎額 × 支給率」と回答した企業が多い状況です。

大きく引き離されて、次が「勤務年数に応じた一定額」となっています。

実は、最も驚いたのがこの調査項目の結果です。

次の調査結果にも関係しますが、基本給に連動する退職金というのは会社側の将来的な負担が大きくなりがちであり、ポイント制が主流となっているはずですが、まだまだ未対応のところが多いのでしょう。

退職金算定基礎額の算出方法

先程取り上げた調査結果で、圧倒的に「退職金算定基礎額 × 支給率」と回答した企業が多かったわけですが、その退職金算定基礎額の算出方法としては、「退職時の基本給」と回答した企業が38.2%で最も多く、次いで「退職時の基本給 × 一定率」と回答した企業が35.5%です。

退職金受給のための最低勤続年数

退職一時金受給のための最低勤続年数、つまり何年目から退職金の支給対象となるのかという点ですが、調査結果によると「3年」と回答した企業が、自己都合退職(50.5%)、会社都合退職(28.3%)ともに、最も多くなっています。

当事務所でも数多くの就業規則や退職金規程を見ていますが、最低勤続年数を3年としている企業が多いのは実感としてあります。

退職金の特別加算制度

退職一時金の特別加算制度をみると、特別加算企業制度がある企業は38.1%で、ない企業は58.7%となっています。

また、特別加算企業制度があると回答した企業の86.7%が「功労加算」、20.0%が「業務上死傷病」となっています。

退職金規程を見ていると、ほとんどの企業で功労加算の規定を入れています。この点について役員退職金規程との関連もあるでしょう。

参考・資料出所

中小企業の賃金・退職金事情(平成28年版)(東京都労働相談情報センター)

まとめ

いかがでしたでしょうか?

個人的にもとても興味深い調査結果であり、退職金制度を有する会社にとってはかなり参考になるはずです。

賃金制度や退職金制度を検討する場合、同一業種や同一規模の企業の賃金水準等を参考にすることは基本です。

といっても、多くの統計が大企業中心となっており、中小企業に特化した調査結果というのはなかなか存在しないのが実情です。

今回の調査結果は、東京都内の中小企業を対象にしていますが、東京都以外の会社にも大いに参考になるものでしょう。

なお、今回ご紹介した東京都による中小企業に特化した調査結果では、学歴別・勤続年数別・自己都合/会社都合による退職金の相場の支給額についてもまとめられているので、併せてご参考ください。

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また、退職金・退職手当に関する法的な基礎知識・裁判例で示された退職金の3つの性格、就業規則に規定する際の注意点などについては以下の記事で解説していますのでこちらもご参考ください。

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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

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