パワハラの相談件数は6万件超! それでも会社が気づかない理由

こんにちは。福岡の社労士・安部敏志です。

先日も以下の記事を書きましたが、最近はハラスメント関連、特にパワハラ対策のご相談が増えています。

今回はパワハラの相談件数などの統計データ、どこに相談すべきかといった相談先についてご紹介します。

なお、パワハラの定義、パワハラに該当するかチェックする上で重要な6種類の行為などの基本的な情報については以下の記事で詳しく解説しています。

パワハラの定義を見極める2つのポイントと具体例(図解あり)
パワハラの定義、パワハラに該当するかチェックする上で重要な6種類の行為とその事例について解説します。
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パワハラの相談件数

厚生労働省は様々な労働相談に対応するため、総合労働相談コーナーを設置しています。

労働相談というと、賃金引き下げなどの労働条件、退職・解雇関係の問題に関する相談が多いと思うかもしれませんが、実は圧倒的に多いのが、いじめ・嫌がらせ、いわゆるパワハラに関する相談です。

ちなみに、平成27年度のデータでは、解雇の相談が37,787件(第2位)、自己都合退職の相談が37,648件(第3位)、労働条件の引下げの相談が26,392件(第4位)となっており、第1位のパワハラが66,566件ですから、圧倒的に数が違うのがわかるかと思います。

以下のグラフは、「あかるい職場応援団」のデータで見るパワハラから作成したものですが、全体の相談件数が横ばいの中で、パワハラに関する相談が増え続け、割合は3割弱になっている状況です。

パワハラの経験の有無・3人に1人が経験あり

厚生労働省が行った平成28年のパワハラの実態調査によると、過去3年間でパワハラを受けたり、見た・相談を受けたという人は、およそ3人に1人となっており、前回の平成24年調査から上昇しています。

  • パワハラを受けたことがある:32.5% ← 25.3%(H24調査)
  • パワハラを見たり、相談を受けたことがある:30.1% ← 28.2%(H24調査)

会社がパワハラに気づかない理由

そして、会社として知っておきたいのが、パワハラを受けたと感じた人のその後の行動です。

厚生労働省が行った平成28年のパワハラの実態調査では以下の結果がまとめられていますが、4割の人がパワハラを受けたと感じても何もしなかった、そして次に多かったのが家族や社外の友人に相談したわけです。

会社としては受け身で待っていても、気づきにくいことです。そして、聞いていないからといって、パワハラがないとは言えないことがわかります。まさしく、王様の耳はロバの耳、という状態ですね。

パワハラを受けた後の行動

パワハラが会社に与える影響

そして、そんな会社として気づきにくいパワハラの問題ですが、以下の図は、パワハラが職場や企業に与える影響という質問への回答を示したものです。

パワハラが会社に与える影響

職場の雰囲気が悪くなる、従業員の心の健康を害するという回答が多く、特に影響はないと考えているの企業は0.2%です。

そして、実態調査報告書の中にはこの質問に関連する興味深い調査結果も示されています。

パワハラの予防・解決の取組を経営上の課題として、

  • 非常に重要である・重要であると回答した企業:A群
  • どちらともいえない・あまり重要ではない・全く重要ではないと回答した企業:B群

とした場合、B群は、パワハラが職場や企業に与える影響について先程のすべての項目で割合が低くなっており、特にその差が大きいのは以下の項目となっています。

  • 企業イメージが悪化する
  • 職場の生産性が低下する
  • 訴訟などによる損害賠償など金銭的負担が生じる

このA群とB群の比較調査結果を見て、妙に納得してしまった部分もあります。要するに、これは個人的な見解ですが、

パワハラを甘く見ている会社は、経営上のリスクにも鈍感

ということです。これだけパワハラが世間に認知され、労災請求も増え、裁判まで起こっているのに。。。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

パワハラに限らず、ハラスメントの話をすると「うちの会社ではありえない」という人がたまにいますが、よく聞く言葉だと思いませんか?

内容の軽さ・重さに関わらず、社内でパワハラと疑われるような事態がないかは常にチェックしておきたいところです。

悪評というのは広まりやすいものであり、放置すればするほど状況は悪化します。

先程の統計にもあるように、パワハラを受けた人のその後の行動として、休職(しばらく会社を休んだ)と退職を合計すると約20%と影響が見えるようになってきてから対策をしても手遅れです。

私のクライアントでも、実際に複数人の退職があってはじめてパワハラに近い実態があったことが発覚し、早急に具体的な対応に取り組んだことがあります。

パワハラの問題を他人事のように考えている会社があるとしたら、それはかなり危機感の欠如した会社と言わざるを得ないですね。

参考 「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」の報告書を公表します – 平成29年4月発表

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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

中小企業の人事労務担当者の育成を中心に業務展開。専門記事の執筆やセミナー・社内研修の講師業も実施。

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