新卒の離職率はなんと3〜5割・・・1位はやっぱりあの業界・・・

厚生労働省が、2015年10月30日に、「新規学卒者の3年以内の離職率」を発表しました。

新卒の3人に1人は3年以内に辞めるとよく言いますが、統計はこの状況が変わっていないことを示しています。

今回は、人材不足と言われる状況の中で、この新卒の離職率(3-5割)の高さに中小企業としてどう対応すべきかというテーマで書いていきます。

2016/11/4追記
平成28年(2016年)10月に発表された最新の統計は以下のページで解説しています。
[H28発表版] 新卒の離職率・不動のワースト3の業界は○○?
厚生労働省が「新規学卒者の3年以内の離職率」を発表しました。離職率の高さワースト3は相変わらずの業界でした。中小企業としてどう対応すべきかというテーマで書いていきます。

離職率の定義

まずは離職率の定義を確認してみます。

離職率は、ある時点で仕事に就いていた労働者のうち、一定の期間(たとえば、ひと月、ないし、1年なり3年)のうちに、どれくらいがその仕事を離れたかを比率として表わす指標。

この値が極端に高ければ、労働者がその仕事に定着しにくく、入れ替わっていくことが常態化していることが含意され、逆に極端に低ければ、労働者がその仕事に定着し、転職や産業間の労働力移動が行なわれにくくなっていることが示唆される。

Wikipedia「離職率」より

よく3年以内の離職率という数字が使われますが、この定義によると、離職率とは、

一定の期間内でどれくらいの割合の社員が辞めたのかを示す率

ということになり、別に期間は3年と決まっているわけではありません。

ブラック企業の見分け方として離職率がよく注目されますが、それは、離職率が高い=定着率が低い、つまり社員を使い捨てにする、という考え方のためです。

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3年以内の離職率に関する統計結果

それでは、厚生労働省より発表された「新規学卒者の3年以内の離職状況」を見ていきます。

新規学卒者の卒業後3年以内離職率

rishoku01

新卒の3人に1人は3年以内に辞めると言いますが、確かに大卒の場合の離職率はそのようになっています。

短大や高卒になると10人のうち4人、中卒になると10人のうち6-7人が3年以内に離職するという高い数値になっています。

ここで興味深いのは、いずれも1年以内の離職率が最も高いということです。

大卒の場合、3年以内の離職率は32.3%ですが、実はそのうちの4割を占める13.1%は1年以内に離職しているということです。

ということは、企業の視点から見ると、まず最初の1年に離職させないということを目指す必要があります。

事業所規模別・卒業後3年以内離職率

rishoku02

次に、事業所の規模別の離職率を見てみます。

規模が大きくなると離職率が下がっていきます。

確かにそのようなイメージをしてしまいますが、よく考えてみると、なぜ規模が大きくなると離職率が下がるのでしょうか?

私が想像するに、人数が多いことで、人間関係が多層化し、結果的にフォローが行き届く、これに尽きるということでしょう。

どんな組織でも、良い人もいれば悪い人もいます。ただ、人数が多ければ、よほど直属の上司でない限り、その人と付き合わなくても日々の仕事をこなすことができる、仮に嫌なことがあっても、フォローしてくれる人が必ずいる、そんなところでしょう。

もちろん、意識的に離職率を下げるための施策を行っている企業はたくさんあると思います。そして、そんな企業は離職率も低いし、優秀な人材も確保できているでしょうね。

産業別卒業後3年以内離職率のうち離職率の高い上位5産業

rishoku03

少し図が見えにくいので、上位5産業を順番に表にします。

宿泊業・飲食サービス業 53.2%
生活関連サービス業・娯楽業 48.2%
教育・学習支援業 47.6%
サービス業(他に分類されないもの) 39.1%
小売業 38.5%

なんと、宿泊業・飲食サービス業の離職率は53.2%、つまり2人に1人は3年以内に離職しています。

第2位の生活関連サービス業・娯楽業、第3位の教育・学習支援業についても50%は切っていますが、ほぼ2人に1人と言っても良い数値です。

ちなみに、生活関連サービス業・娯楽業というのはわかりにくいかもしれません。

これは標準産業分類というものに基づくことになっており、この生活関連サービス業・娯楽業には、かなり雑多になりますが、洗濯、理容美容、旅行業、家事サービス、冠婚葬祭業、結婚相談業などが含まれています。

参考

新規学卒者の離職状況(平成24年3月卒業者の状況)

離職防止対策

それでは、企業ができる離職防止対策はどのようなものでしょうか?

すぐに思いつくのは、賃金や賞与などの報酬アップですが、それは短期的な対策に過ぎません。

中長期的に考えると、結局は、社員に職場を好きになってもらうしかないわけです。

「仕事には誇りを感じるし好き、でも職場は嫌い」というのは特に専門職が多い病院などでよく聞く言葉ですが、社員にとって快適な職場を目指していくのが遠回りに見えて、結局は近道です。

以下の記事で「1,200人が答えた理想の職場とは?」というアンケート結果を紹介していますがその結果で明らかになったのは、賃金、有給休暇といった労働条件面以上に、社内の人間関係、風通しの良さといった部分が職場には求められているということです。

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もちろん、これは統計なので、あなたの会社にすぐに当てはまるとは限りません。最も良い方法は、社員に直接聞くことです。

経営者であれば、顧客満足度(CS: Customer Satisfaction)という言葉はご存知でしょうが、従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)という言葉はいかがでしょうか?

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そして、社員1人ひとりがどのような欲求を持っているのか見極めることが大事です。

以下の記事では、マズローの欲求5段階説を紹介していますが、欲求の段階というのは人によって異なります。まずは生活を安定させるために給料を上げて欲しいという人もいれば、給料ではなく他人に認められたいという欲求が強い人もいます

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つまり、経営者や管理職が重視すべき点は、社内のコミュニケーションをいかに円滑にするかという点になります。

人手不足となると、すぐに採用と考えがちですが、今いる社員に離職される方が経営上損失が大きくなります。

野球でも、強いチームは得点力を上げることよりも、まずは不要な失点を抑えることを重視します。

社員のモチベーション管理を含めて、まずは人材の流出を抑えることを第一に考えてみませんか?

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そして、最後には、行った対策をきちんと全社的に制度として浸透させるために就業規則や関連する規程で整備しておくことが大事です。

対策を実施して効果を上げても、制度として整備することを疎かにして、一部の部署だけで職場環境が向上し、他の部署では相変わらず・・・といったもったいない事例もよく見ます。

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追記

なお、この統計には、最後に気になる文章が付け加えられています。

それは、「内定率が低いときに卒業した者の3年以内離職率は高くなる傾向がある」という文章です。

つまり、内定率が低い=競争が激しいときほど、ミスマッチが起こりやすくなるということです。

中小企業の立場としては、ようやく人材を確保し、時間をかけて育て、いよいよ戦力として期待できるような「人財」になったと思ったら、逃げられた・・・とならないように、戦略的な人事制度を構築しておくことが必要ですね。

コミュニケーションの重要性はあらゆるところで叫ばれていますが、それでは、経営の観点から組織的にコミュニケーションをどのように促進するか検討していますか?

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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

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