新卒の離職率は3〜5割! 不動のワースト5はあの業界【29年最新データ】

厚生労働省は、2017年9月に、最新の「新規学卒者の3年以内の離職率」を発表しました。

新卒の3人に1人は3年以内に退職しているとよく言われますが、それはこの統計が示すとおりです。

なお、発表されている最新データは平成26年3月卒業者が対象となっています。

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離職率の定義

まず、離職率の定義について、Wikipediaの解説を引用し、確認しておきます。

離職率は、ある時点で仕事に就いていた労働者のうち、一定の期間(たとえば、ひと月、ないし、1年なり3年)のうちに、どれくらいがその仕事を離れたかを比率として表わす指標。

この値が極端に高ければ、労働者がその仕事に定着しにくく、入れ替わっていくことが常態化していることが含意され、逆に極端に低ければ、労働者がその仕事に定着し、転職や産業間の労働力移動が行なわれにくくなっていることが示唆される。

Wikipedia「離職率」より

よく3年以内の離職率という数字が使われますが、この定義によると、離職率とは、

一定の期間内でどれくらいの割合の社員が辞めたのかを示す率

ということになり、別に期間は3年と決まっているわけではありません。

最近は企業が離職率を自社のウェブサイトで示していることがありますが、期間を確認することは重要です。

1年目の離職率がすごく高くても、その期間を10年など長く設定すれば離職率は下がります。

3年以内の離職率に関する統計結果

それでは、厚生労働省より発表された「新規学卒者の3年以内の離職状況」を見ていきます。

新規学卒者の卒業後3年以内離職率

グラフの見方

  • PCの場合は、グラフ上にマウスカーソルを持っていってみてください。ラベルと数値がふわっと出て来ます。
  • スマホやタブレットの場合は、グラフ上でタッチしてみてください。ラベルと数値が出て来ます。

新卒の3人に1人は3年以内に辞めると言われますが、確かに、大卒の場合の離職率は3割です。

しかし、短大卒・高卒の場合は10人のうち4人中卒になると10人のうち6-7人が3年以内に離職するという高い数値になっています。

ここで興味深いのは、いずれも1年以内の離職率が最も高いということです。

以下のグラフは3年以内の離職率のうち、1年目、2年目、3年目の離職率を示したものです。

大卒の場合、3年以内の離職率は32.2%ですが、実はそのうちの4割を占める12.2%、中卒に関しては3年以内の離職率67.7%の7割となる45.4%が、1年以内に離職しています。。

ということは、企業の視点から離職対策を考えたとき、まず最初の1年に離職させないための施策を展開していくことが重要になります。

事業所規模別・卒業後3年以内の離職率

次に、事業所の規模別の離職率を見てみます。なお、ここからは大卒の離職率を取り上げていきます。

規模が大きくなると離職率が下がっています。イメージどおりとも言える統計結果ですが、なぜ規模が大きくなると離職率が下がるのでしょうか?

私が想像するに、人数が多いことで、人間関係が多層化し、結果的に離職するかどうか悩む人についても相談相手がいて、フォローが行き届き、離職を思いとどまる人がいるということかと。

どんな組織でも、良い人もいれば悪い人もいます。

ただ、人数が多ければ、その人と付き合わなくても日々の仕事をこなすことができる、仮に嫌なことがあっても、フォローしてくれる人がいる、そんなところでしょう。

もちろん、意識的に離職率を下げるための施策を行っている企業はたくさんあると思います。

そして、そんな企業は離職率も低く、優秀な人材も逃すことなく確保できているということでしょう。

産業別・卒業後3年以内の離職率

最後に、産業別・業種別の離職率を見てみます。平均よりも離職率の高い業種については紫色にしています。

このうち、離職率ワースト5となる産業は以下のとおりです(その他は除外してます)。

宿泊業・飲食サービス業 50.2%
生活関連サービス業・娯楽業 46.3%
教育・学習支援業 45.4%
小売業 38.6%
医療・福祉 37.6%

なんと、宿泊業・飲食サービス業の離職率は53.2%、つまり2人に1人は3年以内に離職しています。

第2位の生活関連サービス業・娯楽業、第3位の教育・学習支援業についても50%は切っていますが、ほぼ2人に1人と言っても良い数値です。

ちなみに、生活関連サービス業・娯楽業というのはわかりにくいかもしれません。

こういった産業別については、標準産業分類というものに基づくことになっており、この生活関連サービス業・娯楽業には、かなり雑多ではありますが、以下の業種が含まれています。

  • 洗濯、理容美容
  • 旅行業
  • 家事サービス
  • 冠婚葬祭業
  • 結婚相談業など

参考 新規学卒者の3年以内の離職率(平成29年9月発表)

離職防止対策

それでは、企業ができる離職防止対策はどのようなものでしょうか?

すぐに思いつくのは、賃金や賞与などの報酬アップですが、それは短期的な対策に過ぎません。

中長期的に考えると、結局は、社員に職場を好きになってもらうしかありません。

「仕事は好きであり、誇りを感じる、でも職場は嫌い」というのは特に専門職が多い病院などでよく聞く言葉ですが、社員にとって快適な職場を目指していくのが遠回りに見えて、結局は近道です。

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もちろん、これは統計なので、あなたの会社にすぐに当てはまるとは限りません。最も良い方法は、職場アンケートなどを通じて社員に直接聞くことです。

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そして、社員1人ひとりがどのような欲求を持っているのか見極めることが大事です。

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つまり、経営者や管理職が重視すべき点は、社内のコミュニケーションをいかに円滑にするかという点になります。

人手不足となると、すぐに採用と考えがちですが、今いる社員に離職される方が経営上損失が大きくなります。

野球でも、強いチームは得点力を上げることよりも、まずは不要な失点を抑えることを重視します。

社員のモチベーション管理を含めて、まずは人材の流出を抑えることを第一に考えてみませんか?

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そして、行った対策をきちんと全社的に制度として浸透させるために、就業規則や規程など書面化して整備しておくことが大事です。

対策を実施して効果を上げても、制度として整備することを疎かにして、一部の部署だけで職場環境が向上し、他の部署では相変わらず・・・といったもったいない事例もよく見ます。

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内定率が低い = 離職率が高い?

なお、この統計には、最後に気になる文章が付け加えられています。

それは、「内定率が低いときに卒業した者の3年以内離職率は高くなる傾向がある」という文章です。

つまり、内定率が低い=競争が激しいときほど、ミスマッチが起こりやすくなるということです。

中小企業の立場としては、ようやく人材を確保し、時間をかけて育て、いよいよ戦力として期待できるような「人財」になったと思ったら、逃げられた・・・とならないように、戦略的な人事制度を構築しておくことが必要です。

コミュニケーションの重要性はあらゆるところで叫ばれていますが、それでは、経営の観点から組織的にコミュニケーションをどのように促進するか検討していますか?

コミュニケーション経営を行うことで人を育て組織を伸ばす、過去の事例を含め系統立てた解説がなされているため、以下の本はオススメです。

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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

従来の顧問契約とは異なり、中小企業の人事労務担当者の育成を主要業務とする。専門記事の執筆やセミナー・社内研修の講師にも対応。

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