経営史に残る最強トヨタの人材育成! 史上最悪のアメリカの工場を変えた働き方

こんにちは。福岡の社労士・安部敏志です。

人材育成・社員教育、人事評価など人事労務管理に関するご相談・お悩みは様々です。

今回は、「「怒鳴っても人間は変わらない!」史上最悪の工場を変えたシンプルな教え」という記事にインスパイアされ、改めて、人材育成とはどうあるべきかを考えた内容です。

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史上最悪のアメリカの工場

米・カリフォルニア州フリーモントにあるGMの工場は最悪の状態でした。

無断欠勤は常習化しており、労働者が十分に出勤していないため、製造ラインが動かせないことも多くありました。管理者は、工場近くのバーに入り浸っている労働者たちを引きずり出して働かせたこともあったそうです。

会社が労働者に罰を与えれば、すぐに過激な仕返しがありました。会社の車にわざとキズを付けたり、ストライキを始めたり、部品を故意に取り付けなかったりしました。それは会社と労働者の戦争でした。

会社と労働者の戦争・・・すさまじい状態であり、まさに最悪です。

そして、当然ながら、この工場は閉鎖されることになります。

しかし、その後、トヨタがアメリカで最初の自動車工場を建設するにあたり、GMと提携することが決まり、この最悪の工場が再稼働されることになります。

これこそトヨタの人材育成

ここから、まるで物語のような展開をしていきます。

トヨタは、この最悪の工場の労働者を日本に送り、彼らに「全く新しい働き方」、いわゆる「トヨタ生産方式」を見せます。

トヨタでは、現場の労働者と管理者は同じチームだと見なされていました。

労働者がミスでラインを止めても、管理者が怒鳴ることはありませんでした。それどころか、どうやって労働者を手助けできるか、自ら現場に足を運んで聞きに来ていたのです。

フリーモントの労働者にとって、これは信じられない光景でした。

当時のトヨタで教育係をしていた従業員はその光景をこう語ります。

「フリーモントで30年以上働いてきた白髪まじりのアメリカ人が、涙を流しながらトヨタの労働者を抱き寄せていました。彼らはみんなが協力し合うトヨタの働き方を見て、心の底から感動したようでした」。

そして、3か月後、フリーモントの労働者はアメリカに戻り、工場は再稼働するのですが、すべてが変わります。

抗議活動や無断欠勤どころか、労働者たちは仕事に来るのが楽しみだと言うようになったのです。

そして、これまたドラマチックな展開ですが、過去に全米最悪と呼ばれたフリーモントの工場は、全米トップの工場に生まれ変わったのです。

作った車は満点に近い品質評価を受け、製造コストも急減。

つまり、問題は従業員ではなく、仕組みにあったことが証明されたのです。

人材育成と仕組みづくりの関係

グローバル人材育成という言葉をよく聞きますが、定義は何なのでしょうか?

まさか英語教育ではないですよね?

景気が少しでも良くなれば、人手不足になり、人材育成の重要性が叫ばれます。

「人材は資産です」、「きちんと研修・教育をしましょう」など、人材育成を業務としてる会社は様々な営業をかけてきます。

先程のアメリカの工場労働者が衝撃を受けたトヨタの工場体験は、まさしくグローバルな人材育成です。

彼らは、確かに、日本に滞在しているときに研修も受けたかもしれません。しかし、その研修は、きっと外部の研修会社が行うような一般的な研修ではなかったはずです。

まさしく同じ工場労働者による現場体験、日々の仕事をどのように工夫して、かつ楽しく行っているか、それを個人個人ではなくチームで考え、仕組み・システムを作っていく、そんな内容だったのではないでしょうか?

重要なのは人間を変えることではなく、仕組み(システム)を変えること

Aaron Swartz

人事労務管理を行う上で大切なことは、誰がやっても同じ水準になる、すなわち、規律をきちんと定めるための仕組み・システムづくりです。

マニュアルと呼ぶと拒否反応を示す人がたまにいますが、短い期間で一定の基準を上回るためには仕組み・マニュアルづくりが欠かせません。

仕組みづくりに費やす時間はないといって、結局、一人一人を一から教育するのは時間のムダです。

経営とは全体最適のための仕組みづくり

行っている事象を個別に見ていれば、個別最適にしかなりません。

経営とは常に全体最適を考えなければなりません。

大きな組織がおかしくなるのは、部署単位で最適を求めてしまうからです。役所の場合、省益とよく言われますが、その言葉にまさに表れています。

人材育成を考えるときも、どのような研修を行うのかといった個別のことばかりでなく、最終的にどうありたいのか、そのために何をしなければならないのか、という点を考え、全体の仕組み・システムを構築していく視点を忘れないようにしたいものです。

これこそが人材育成であり、人事制度の構築である、だからこそ人事の役割は重要になるわけです。

なお、外部で行われる研修でも、研修講師はもちろんプロですから、良い研修がたくさんあることは知っています。

ただ、外部の研修さえ受けさせていたら、人材育成ができると考える浅はかな経営者や人事担当者があまりにも多く、それは間違いです。

自らの会社を良くするのは会社自身であると肝に銘じておきたいものです。

この兆候は危険! 組織の崩壊を示す5つのポイントを解説!
組織が崩壊する兆候は存在します。今回は組織の崩壊を示す5つのポイントを解説します。これらの兆候があったら危険です。

参考

経営史に残る最強トヨタの人材育成! 史上最悪のアメリカの工場を変えた働き方
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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

従来の顧問契約とは異なり、中小企業の人事労務担当者の育成を主要業務とする。専門記事の執筆やセミナー・社内研修の講師にも対応。

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