定年とは? 定年の年齢・定年退職と定年解雇の違いを詳細解説!

こんにちは。福岡の社労士・安部敏志です。

最近、「定年は60歳だよ」とか、「いやいや定年は65歳に引き上げられたんだよ」という話を教えていただきました。。。

今回は、定年の年齢、定年退職と定年解雇の違いについて、法律を踏まえて正しい情報を解説します。

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定年とは?

定年とは、期間の定めのない労働契約の退職事由の1つで、一定の年齢に達したときに労働契約が終了することを意味します。

期間の定めのない労働契約の退職事由として、定年の他に、死亡や解雇があります。

定年の年齢

冒頭で、定年は60歳なのか、それとも65歳なのかという点に触れましたが、正解は「会社が決める年齢」です。

逆に言えば、定年の年齢を決める義務があるわけではないので「定年なし」という選択も可能です。

平成28年就労条件総合調査結果によると、定年制を定めている企業は95.4%、定年制を定めていない企業は4.6%となっています。規模が小さくなるにつれて、定年制を定めていない企業が多くなっている点が興味深いところです。

また、定年年齢については60歳と定めている企業の方が多いのですが、こちらも規模が小さくなるにつれて65歳以上としている割合が高くなっています。

なお、退職に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項であるため、就業規則に定年の年齢が規定されていなければ「定年なし」となります。

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定年に関する法律:高年齢者の雇用の安定に関する法律

このように定年に関する定めは自由なわけですが、定年の年齢については、高年齢者の雇用の安定に関する法律第8条において、定年は60歳を下回ることができないと規定されています。

そのため、定年に関して就業規則に規定する場合、必ず60歳以上となっているわけです。

高年齢者の雇用の安定に関する法律第8条(定年を定める場合の年齢)
事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は60歳を下回ることができない。

定年退職と定年解雇の違い

定年制には、以下のように定年退職と定年解雇の2種類があります。

  • 定年退職:定年到達時に、使用者の特別な意思表示なく当然に労働契約が終了
  • 定年解雇:定年到達を解雇事由と捉え労働契約終了のためには解雇の意思表示が必要

先程、定年年齢については、就業規則の規定によると解説しましたが、この2種類についても、就業規則にどのように規定するかによって異なります。

定年退職とは

わかりやすいのは、定年退職に関する就業規則の規定です。

従業員の定年は65歳とし、定年に達した月の末日をもって退職とする。

定年解雇とは

それに対して、若干ややこしいのが定年解雇に関する就業規則の規定です。

まず、定年制の規定がない、または解雇事由の中に「○歳の定年に達したとき」と規定されていれば、これは間違いなく定年解雇に該当します。

個人的に明確に断言できないのが継続雇用制度との関係です。

継続雇用制度とは、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9条に基づいて求められる3つの高年齢者雇用確保措置の1つです。

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9条(高年齢者雇用確保措置)
定年(65歳未満のものに限る。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。

  1. 当該定年の引上げ
  2. 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
  3. 当該定年の定めの廃止

なお、継続雇用制度の詳細については以下の記事で解説していますのでご参考ください。

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定年再雇用後の賃金

定年再雇用の対象となる方、また人事労務担当者の双方にとって気になるのが、定年再雇用後の賃金水準でしょう。

継続雇用制度には、勤務延長制度と再雇用制度の2種類がありますが、賃金設定で悩ましいのは再雇用制度を導入した場合です。

以下の記事では、実際に再雇用制度を導入している会社がどの程度の賃金水準を設定しているのか、東京都の調査結果をご紹介し、また注意しておきたい法規制について解説していますのでご参考ください。

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継続雇用しない事由の取り扱い

継続雇用制度については以下のような規定をすることが一般的ですが、この規定に併せて、多くの会社では「継続雇用しない事由」を就業規則の中に定めています。

  1. 従業員の定年は60歳とし、定年に達した月の末日をもって退職とする。
  2. 前項の規定にかかわらず、定年後も引き続き雇用されることを希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない労働者については、満65歳までこれを継続雇用する。

そして、この継続雇用しない事由について、厚生労働省は「高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)」で以下のように回答しています。

Q
就業規則において、継続雇用しないことができる事由を、解雇事由又は退職事由の規定とは別に定めることができますか。
A
法改正により、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みが廃止されたことから、定年時に継続雇用しない特別な事由を設けている場合は、高年齢者雇用安定法違反となります。ただし、就業規則の解雇事由又は退職事由と同じ内容を、継続雇用しない事由として、別に規定することは可能(以下、略)

継続雇用制度には、勤務延長制度と再雇用制度の2種類があります。

勤務延長制度は、定年年齢に達した人を退職させることなく引き続き雇用することになるため、定年年齢で退職させるためには解雇するしかありません。

その一方で、再雇用制度は、定年年齢に達した人をいったん退職させた後に再び雇用することになるため、一度退職という扱いになります。

このように考えると、継続雇用しないことと解雇について、厳密には異なるような気もするのですが、少なくとも行政は、継続雇用しない=解雇とみなしているようにも見えるため、実務的な対応として考えると、継続雇用しない場合は、解雇予告など解雇と同等の取扱いを行っておくべきと言えます。

まとめ

今回は定年制に関する基礎知識を解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

最後にまとめておきますので、以下の部分は最低限理解しておきましょう。

  • 定年というのはあくまで会社が定めるものであり、定年の定めをするかどうかは会社の自由である
  • 定年の年齢として60歳未満に設定するのはダメ
  • 会社には65歳までの雇用確保措置が求められている

また、定年退職と定年解雇の違いについても解説しました。この機会に、会社の就業規則を確認し、あなたの会社が定年退職制なのか、それとも定年解雇制になっているのか、理解しておきましょう。

参考 定年制(独立行政法人労働政策研究・研修機構ウェブサイト)

なお、就業規則の規定内容を確認する際には以下の記事をご参考ください。

就業規則の見直しに役立つ99のポイント(第8回・解雇/退職/定年/退職金)
「就業規則の見直しに役立つ99のポイント」、今回は第8回・解雇/退職/定年/退職金編です。人事労務管理に関する3大トラブルの1つですが、最も就業規則が読まれるのは退職時と言われていますので要注意です。
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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

中小企業の人事労務担当者の育成を中心に業務展開。専門記事の執筆やセミナー・社内研修の講師業も実施。

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