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ブラック企業の定義・国の指導事項を踏まえた対応方針を解説!

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ブラック企業という言葉は、今や一般用語として用いられるほど知名度が上がりました。

当事務所のクライアントからも「ブラック企業と言われないか心配」というご相談があったりします。

今回は、ブラック企業の定義について、国がどのような定義をしているのか、海外からの評価をご紹介します。

ブラック企業とは

まず、ブラック企業の定義について、法的に明確なものはありません。

そのため、ブラック企業に共通する特徴によって「あの企業はブラック企業では?」と言われている状況です。

ただ、行政もブラック企業対策には乗り出しており、厚生労働省はブラック企業という言葉を用いてこそいませんが、若者の「使い捨て」が疑われる企業への取組として各種の施策を行っています。

つまり、ブラック企業について、行政は以下のように定義しているということです。

  • ブラック企業 = 若者の「使い捨て」が疑われる企業

そして、厚生労働省はブラック企業対策として、以下の項目を重点確認事項としています。

なお、以下の項目のうち1つでも問題があれば法違反となります。

  1. 時間外・休日労働が36協定の範囲内であるか
  2. 賃金不払残業(サービス残業)がないか
  3. 長時間労働者については、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられているか

ブラック企業の特徴として、よく長時間労働の問題が取り上げられますが、労使の間で取り決められた36協定の範囲内なのかという点がポイントとなることがわかります。

また、サービス残業がないかという賃金の問題もブラック企業の特徴としてよく言われますが、最後の面接指導等の健康確保措置についてはあまり注目されていない気がします。

労働時間の規制について賃金の問題だと勘違いしている人が多いのですが、それは間違いです。

労働時間の規制というのは労働者の健康の問題、つまり労働安全衛生の問題です。

時間外労働や休日労働、いわゆる残業をさせたら、残業代を払わなければならない、これは正しい理解です。

しかし、残業代を払えば、いくらでも残業をさせても良い、これは間違いです。

海外でも知られているBlack Company

英語を話せる方は、「過労死」という言葉が英語でそのまま「Karoshi」として伝わることをご存知でしょう。ちなみに「Karaoke」も通じますw

日本初の言葉が世界で通じるようになるのは本来なら喜ぶべきことですが、ブラック企業についても、Wikipediaでは「Black company(Japanese term)」として掲載されています。

また、海外でも、このブラック企業問題については、日本特有の状況として既に広く知られてきているようで、「black company」で検索してみると、「Black Companies? The Ugly Side Of Japanese Business・ブラック企業? 日本のビジネスの醜い一面」として紹介されています。

タイトルが「日本のビジネスの醜い一面」です。。。そして、チャールズ・ディケンズの時代の労働搾取企業を彷彿とさせるようです。。。

「ブラック企業」とは、法律上の用語ではなく、一般的に、長時間労働、パワーハラスメント、残業代の不払いなど違法な労働慣行が横行している搾取的な企業のことを指して用いられている。このような労働搾取企業は チャールズ・ディケンズ(1812-1870)の靴墨工場での屈辱を彷彿とさせる。

そして、ブラック企業について3つのカテゴリーに分類しています。ハラスメントについてはセクハラが例示されていますが、当然のことながら、昨今日本でも大きな問題となっているパワハラも入ります。

ブラック企業問題は、長時間労働から生じる病気や過労死の要因の1つともなっている。日本企業は、従業員に長時間労働を求めることで知られている。しかし、一方で、従業員に適切な給与を支払い、出世の機会を与え、高度な雇用確保を保証している。

ブラック企業は、長時間労働に釣り合うこれらの利益を提供しない。ブラック企業は、3つのカテゴリーに分類される。

1つは「使い捨て型」で、長時間労働、低賃金で従業員を酷使する企業である。

2つ目は「選択型」で、大量に採用して、企業が本当に欲しい少数名を除き大量に辞めさせる企業である。

3つ目は「無秩序型」で、セクシャルハラスメントなどの職権濫用行為が横行する企業である。

まとめ

今回は、法的には明確な定義がないブラック企業について、国による定義、海外の取り上げ方を紹介しました。

行政の重点確認事項と海外の記事を比較すると、実はハラスメントへの対策で違いがあります。

実は、ハラスメントの問題、特に、パワハラについては、現時点では法的規制がないため、パワハラがあったとしても行政による指導対象とはなりません。行政に寄せられる労働相談の内訳ではずっとトップに上がっている項目ではありますが。。。

そのため、ブラック企業とは、法令違反の企業だけを示すものではないという点に要注意です。

ブラック企業と呼ばれないための方法に関するアドバイスを求められることが増えていますが、結局は「働きがい・働きやすい職場づくりに尽きる」ということです。

「労働基準法なんて守れない」という人はまだまだいますが、それは守り方を知らないだけです。

法令遵守よりも広い意味での「働きやすい職場づくり」を目指さなければ、生き残っていけない時代が来たとも言えます。

なお、近年問題が大きくなっているパワハラについては以下の記事で解説していますのでご参考ください。

関連:パワハラの定義と6つの類型・具体例:2020年6月から義務化

関連:パワハラの相談件数は8万件超! それでも会社が気づかない理由

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