労働基準法における休憩の基礎知識-6時間勤務なら休憩なしは本当?

こんにちは。生まれてこの方1度も夏バテになったことがない福岡の社労士・安部敏志です。

食欲だけはいつも旺盛だからでしょうね。

そういえば就職したとき、上司から「食欲がなくなったら本当にヤバい状態だからそのときは休んでもいいよ」と言われました。つまり、それ以外は休むなと理解しましたw

さて、今回は、人事労務管理における休憩時間の基礎知識として、休憩時間の基本・長さ、3つの原則、そして最後に実務上の注意点について解説します。

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休憩時間

休憩時間とは、労働者の権利として労働から離れることを保障されている時間です。

つまり、仕事の指示を待っているような待機時間は、労働から離れることを保障されていないため、休憩時間には該当しないということです。

ただし、以下の場合は、休憩時間を与えなくてもよいとされています。

  • 運輸及び郵便の事業に利用される者のうち列車、自動車、航空機等の運転手、車掌、給仕等の乗務員であって長距離にわたり継続して乗務する者
  • 屋内勤務者30人未満の郵便局において郵便、電信又は電話の業務に従事する者

労働時間と休憩の関係

休憩時間の長さは、以下のように労働時間との関係で最低限の時間が決められています。

  • 6時間を超えて8時間以内:45分
  • 8時間を超える場合:60分
労働基準法第34条第1項
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

ここでのポイントは、6時間以内であれば休憩時間は不要ということです。

法律では「6時間を超える」と定められていますので、6時間であればこの規定には該当せず休憩無しでも構わないわけです。

そして、もう1つのポイントが、「8時間を超える時間は、何時間になっても休憩時間は60分でよい」ということです。

労働基準法は最低限の基準を定めたものですから、もちろん、上回るのはOKです。

シフト制で夜勤がある業種では、15時間勤務で休憩時間90分と、就業規則に規定し、運用している会社もあります。

バイト・パートの休憩時間

なぜか、アルバイトやパートの休憩時間はどうなっているのか、という質問を受けることがありますが、先程解説した休憩時間は、全労働者共通です。

つまり、アルバイトでも、パートでも、休憩時間の長さは変わりません。

職種は関係ありません。有期契約社員でも、嘱託でも、職種の名称に関わらず、休憩時間は、労働時間の長さによって決まります

休憩時間の与え方に関する3つの原則

1. 休憩時間は労働時間の途中で付与しなければならない

1つ目の原則が、休憩時間の途中付与です。

つまり、始業後直後や終業直前の休憩は、労働時間の途中に与えたことにならないため、違法になります。

なお、休憩時間の与え方で、一括するのか、それとも分割するのかという点については、何も規制がありません。

労働基準法第34条第1項
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない

2. 休憩時間は一斉に付与しなければならない

2つ目の原則が、休憩時間の一斉付与です。

労働基準法第34条第2項
休憩時間は、一斉に与えなければならない。

ただし、この一斉付与の原則について、2つの例外があります。

1つ目が、業種による例外です。以下の業種については、一斉付与の例外として扱うことが法律でも認められています。

  • 運送の事業
  • 販売、理容の事業
  • 金融、保険、広告の事業
  • 映画、演劇、興行の事業
  • 郵便、信書便、電気通信の事業
  • 保健衛生の事業
  • 旅館、飲食店、娯楽場の事業
  • 官公署の事業

2つ目が、労使協定による例外です。

労使協定を締結した場合は、休憩を一斉に付与しなくてもよいことになっています。

業務の実態から、休憩の一斉付与が、業務の円滑な運営に支障をきたすと労働者側の代表も納得すればOKということです。

実際、フレックスタイム制を採用している場合には、難しいですし。

ただし、フレックスタイム制にしているから自動的に一斉休憩の付与の例外が適用されるわけではないことに注意が必要です。

3. 休憩時間は自由に利用させなければならない

3つ目の原則が、休憩時間の自由利用です。

労働基準法第34条第3項
使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。

これがよくトラブルの元となるのですが、この記事の冒頭で解説したとおり、休憩時間とは、労働者の権利として労働から離れることを保障されている時間です。

そのため、休憩時間中に、仕事の指示を行うのは論外ですし、「休憩の間にこれを処理しておいてくれ」というのもダメです。

ただし、自由といっても、完全な自由ではなく、会社は一定の制約を課すことはできます。

この点について、行政解釈では、「事業場内において自由に休憩できる限りは、外出許可制をとっても差し支えない」(昭和23年10月30日付け基発1575号)としています。

なお、許可制というのは、原則的禁止を前提に、許可がある場合に禁止を解除するという考え方です。

ただし、外出許可についてはトラブル防止のため、会社のルールとして就業規則に規定しておいた方が良いでしょう。

また、よくあるご相談が、昼休み中の電話番です。

この点については、行政もよくある質問として以下のように回答しています。

Q
昼休みに電話や来客対応をする昼当番が月に2~3回ありますが、このような場合は勤務時間に含まれるのでしょうか?
A
休憩時間は労働者が権利として労働から離れることが保障されていなければなりません。したがって、待機時間等のいわゆる手待時間は休憩に含まれません。
ご質問にある昼休み中の電話や来客対応は明らかに業務とみなされますので、勤務時間に含まれます。したがって、昼当番で昼休みが費やされてしまった場合、会社は別途休憩を与えなければなりません。

参考

よくある質問:労働時間・休日・休憩関係(厚生労働省)

実務における休憩時間の与え方に関する注意点

よくある事例としてご相談いただく中で、実務上注意しておきたいのは、時間外労働、つまり残業が発生したときの休憩時間です。

上で解説したとおり、労働時間がちょうど6時間であれば、休憩時間は不要です。

ただし、もし少しでも残業が発生すれば、それは「労働時間が6時間を超えるとき」に該当し、45分の休憩時間を与えなければなりません。

これは8時間も同様です。労働時間がちょうど8時間であれば45分の休憩時間で良いのですが、残業が発生すれば15分追加の60分にする必要があります。

そのため、6時間労働・休憩時間なし、または8時間労働・休憩時間45分としているのであれば、就業規則に、休憩時間の追加の規定を入れ忘れないようにしておかなければならないですし、運用面でも忘れないようにしておく必要があります。

break-time

しかし、実務面を考えると、6時間労働の場合、少しでも残業が発生すると、45分の休憩時間が追加です。

つまり、終業時間が1時間延長になっても実労働時間としては15分延びただけであり、これでは経営者・労働者双方にとって何の意味があるのかわからなくなります。

そのため、この追加が面倒であれば、最初から6時間労働・休憩時間45分、8時間労働・休憩時間60分としておくか、特に6時間労働の場合はパートやアルバイトなどの短時間労働者のケースが多いでしょうから、残業を絶対に発生させないとしておいた方が良いでしょう。

まとめ

最近、休憩時間の適切な与え方に関するお問合せを多くいただきます。休暇関係のお問合せも相変わらず多いですが。

適度な休息があってはじめて人は頑張ることができます。順番を間違えないようにしましょう。頑張るから休息を取ってもよいという考え方は、自分自身だけにして、人に押しつけないようにしましょう。

休暇関係については以下の記事でまとめていますのでご参考下さい。

【まとめ】有給休暇や産休などの法定休暇に関する義務の内容一覧
有給休暇、産休・育休といった休暇・休業制度について、何が義務で何が任意なのか、何が有給で何が無給でもよいのかご存じですか? 今回は、経営者・人事担当者が抑えておきたい休暇・休業制度の種類、給料の要否などについて解説します。

また、就業規則の中でも休憩時間については適切に定めておく必要があります。以下の記事のチェックポイントをご活用下さい。

就業規則の見直しに役立つ99のポイント(第6回・休憩/休日/休暇/休業)
「就業規則の見直しに役立つ99のポイント」、今回は第6回・休憩/休日/休暇/休業編です。特に休暇については実際多くのご質問をいただきます。その理由を含めて今回はご紹介します。

参考

休憩時間の長さについては、法律の最低限の部分で就業規則などの制度を設計してしまうと意外と実務的に面倒なことになってしまいます。

ノーワーク・ノーペイの原則では、所定労働時間より短い労働時間の場合は当然控除できますが、残業が発生すると休憩時間が変わり得ます。

労働時間と休憩時間が変わってしまうと、給与計算も変わってきます。何しろお金の問題ですから「間違えてしまいました」では許されません。

まだまだエクセルで管理するような会社も多くあるようですが、計算式を間違えていると、すべてのデータが間違っていることになります。

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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

最近は記事の執筆やセミナー講師の依頼にも積極的に対応。仕事内容がわかりにくいとよく言われるので、業務内容・実績を紹介するページを作成しました!

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