休憩時間の原則と注意点・労働基準法による規制内容を詳細解説!

こんにちは。福岡の社労士・安部敏志です。

人事労務に関するお問合せは様々ですが、休憩に関するご相談は、本当に多く、労働者側・会社側の双方からいただきますし、正確な理解があまりなされていない問題です。

労働者側からの相談としては、

  • 忙しくて休憩が取れない・・・
  • 休憩時間に仕事を指示される・・・
  • 休憩が取れる部署もあるが、取れない部署もあって管理職によって対応がバラバラ
  • 休憩時間は自由なはずなのに外出もできないのか・・・

経営者や管理職からの相談としては、

  • 休憩時間を分けて与えることはできる?
  • 昼休みに電話当番や来客対応を指示できる?
  • 指示や強制をしていないが、自主的に仕事をしている社員に対してどのように扱うべき?
  • 営業など外勤が多い場合の社員にはどのように休憩を与えればよい?
  • 休憩時間はいらないから早く退社させて欲しいと言われるがどう対応すべき?

などが主な相談内容です。あなたの会社は大丈夫ですか?

今回は、人事労務管理における休憩時間の基礎知識として、休憩時間の基本・長さ、3つの原則、そして最後に実務上の注意点について解説します。

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休憩時間とは

休憩時間とは、労働者の権利として労働から離れることを保障されている時間です。

つまり、仕事の指示を待っているような待機時間は、労働から離れることを保障されていないため、休憩時間には該当しないということです。

ただし、以下の場合は、休憩時間を与えなくてもよいとされています。

  • 運輸及び郵便の事業に利用される者のうち列車、自動車、航空機等の運転手、車掌、給仕等の乗務員であって長距離にわたり継続して乗務する者
  • 屋内勤務者30人未満の郵便局において郵便、電信又は電話の業務に従事する者

労働時間と休憩時間の関係

休憩時間の長さは、以下のように労働時間との関係で最低限の時間が決められています。

労働時間 休憩時間
6時間以内 なし
6時間を超えて8時間以内 最低45分
8時間を超えるとき 最低60分

労働基準法第34条第1項
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

ここでのポイントは、6時間以内であれば休憩時間は不要ということです。

法律では「6時間を超える」と定められていますので、6時間であればこの規定には該当せず休憩無しでも構わないわけです。

そして、もう1つのポイントが、「8時間を超える時間は、何時間になっても休憩時間は60分でよい」ということです。

労働基準法は最低限の基準を定めたものですから、もちろん、上回るのはOKです。

シフト制で夜勤がある業種では、15時間勤務で休憩時間90分と、就業規則に規定し、運用している会社もあります。

パートの休憩時間

また、「パートやアルバイトの休憩時間はどうなるのか」という質問を受けることがありますが、先程解説した休憩時間は、すべての労働者に共通します。

つまり、アルバイトでも、パートでも、休憩時間の長さは変わりません。

契約社員や嘱託も同様に、職種の名称に関わらず、休憩時間は、労働時間の長さによって決まります

ちなみに、契約社員、嘱託、アルバイトという名称に関わらず、所定労働時間が通常の労働者(いわゆる正社員)より短ければ、法的にはパートとして扱われ、パートタイム労働法による規制が適用されます。

この点については以下の記事で詳しく解説していますのでご参考ください。

正社員とパートの違いを法律的・実態面から詳細解説!
正社員とパートの違いについて間違った認識を持っている人が多くいます。月給制と時給制、雇用契約期間、社会保険、すべて無関係です。今回は正社員とパートの違いを法的・明快に解説します。

休憩時間に関する3つの原則

1. 休憩時間は労働時間の途中で付与しなければならない

1つ目の原則が、休憩時間の途中付与です。

つまり、始業後直後や終業直前の休憩は、労働時間の途中に与えたことにならないため、違法になります。

なお、休憩時間の与え方で、一括するのか、それとも分割するのかという点については、何も規制がありません。

労働基準法第34条第1項
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない

2. 休憩時間は一斉に付与しなければならない

2つ目の原則が、休憩時間の一斉付与です。

労働基準法第34条第2項
休憩時間は、一斉に与えなければならない。

ただし、この一斉付与の原則について、2つの例外があります。

1つ目が、業種による例外です。以下の業種については、一斉付与の例外として扱うことが法律でも認められています。

  • 運送の事業
  • 販売、理容の事業
  • 金融、保険、広告の事業
  • 映画、演劇、興行の事業
  • 郵便、信書便、電気通信の事業
  • 保健衛生の事業
  • 旅館、飲食店、娯楽場の事業
  • 官公署の事業

2つ目が、労使協定による例外です。

労使協定を締結した場合は、休憩を一斉に付与しなくてもよいことになっています。

業務の実態から、休憩の一斉付与が、業務の円滑な運営に支障をきたすと労働者側の代表も納得すればOKということです。

実際、フレックスタイム制を採用している場合には、難しいですし。

ただし、フレックスタイム制にしているから自動的に一斉休憩の付与の例外が適用されるわけではないことに注意が必要です。

3. 休憩時間は自由に利用させなければならない

3つ目の原則が、休憩時間の自由利用です。

労働基準法第34条第3項
使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。

これがよくトラブルの元となるのですが、この記事の冒頭で解説したとおり、休憩時間とは、労働者の権利として労働から離れることを保障されている時間です。

そのため、休憩時間中に、仕事の指示を行うのは論外ですし、「休憩の間にこれを処理しておいてくれ」というのもダメです。

ただし、自由といっても、完全な自由ではなく、会社は一定の制約を課すことはできます。

この点について、行政解釈では、「事業場内において自由に休憩できる限りは、外出許可制をとっても差し支えない」(昭和23年10月30日付け基発1575号)としています。

なお、許可制というのは、原則的禁止を前提に、許可がある場合に禁止を解除するという考え方です。

ただし、外出許可についてはトラブル防止のため、会社のルールとして就業規則に規定しておいた方が良いでしょう。

また、よくあるご相談が、昼休み中の電話番です。

この点については、行政もよくある質問として以下のように回答しています。

Q
昼休みに電話や来客対応をする昼当番が月に2〜3回ありますが、このような場合は勤務時間に含まれるのでしょうか?
A
休憩時間は労働者が権利として労働から離れることが保障されていなければなりません。したがって、待機時間等のいわゆる手待時間は休憩に含まれません。
ご質問にある昼休み中の電話や来客対応は明らかに業務とみなされますので、勤務時間に含まれます。したがって、昼当番で昼休みが費やされてしまった場合、会社は別途休憩を与えなければなりません。

参考 よくある質問:労働時間・休日・休憩関係(厚生労働省)

実務における休憩時間の与え方に関する注意点

よくある事例としてご相談いただく中で、実務上注意しておきたいのは、時間外労働、つまり残業が発生したときの休憩時間です。

上で解説したとおり、労働時間がちょうど6時間であれば、休憩時間は不要です。

ただし、もし少しでも残業が発生すれば、それは「労働時間が6時間を超えるとき」に該当し、45分の休憩時間を与えなければなりません。

これは8時間も同様です。労働時間がちょうど8時間であれば45分の休憩時間で良いのですが、残業が発生すれば15分追加の60分にする必要があります。

そのため、6時間労働・休憩時間なし、または8時間労働・休憩時間45分としているのであれば、就業規則に、休憩時間の追加の規定を入れ忘れないようにしておかなければならないですし、運用面でも忘れないようにしておく必要があります。

break-time

しかし、実務面を考えると、6時間労働の場合、少しでも残業が発生すると、45分の休憩時間が追加です。

つまり、終業時間が1時間延長になっても実労働時間としては15分延びただけであり、これでは経営者・労働者双方にとって何の意味があるのかわからなくなります。

そのため、この追加が面倒であれば、最初から6時間労働・休憩時間45分、8時間労働・休憩時間60分としておくか、特に6時間労働の場合はパートやアルバイトなどの短時間労働者のケースが多いでしょうから、残業を絶対に発生させないとしておいた方が良いでしょう。

参考

最後に解説したように、8時間の労働時間に対して休憩時間を45分と設定していると、実務的に面倒なことになってしまいます。

労働時間と休憩時間が変わってしまうと給与額も変わってきます。何しろお金の問題ですから「間違えてしまいました」では許されません。

まだまだエクセルで管理するような会社も多くあるようですが、計算式を間違えていると、すべてのデータが間違っていることになります。

当事務所のクライアントの多くは、事務の効率化、そしてどこでも処理できるクラウドサービスの利便性から、以下の2つのサービスのどちらかを利用しています。

実際、クライアントに利用してみた感想を聞いてみると、経理に精通していなくても直感的に利用できることから、給与計算ソフトfreeeの方が好評のようです。

クラウドサービスの場合、出張時など離れた場所でも利用できますし、ソフトのアップデートも不要で、常に最新のサービスを利用できるため、もはや手放せないと喜んでいます。

どちらのサービスも無料で利用を開始できるため、まずは試しに登録してみてはいかがでしょうか?

なお、最近はオススメの給与計算ソフトを教えて欲しいと言われることが多くなってきていることから、以下の記事では、インストール型を含めて、代表的な給与計算ソフトを比較していますのでご参考ください。

給与計算ソフトを徹底比較! 中小企業にオススメできるソフトはどれ?
「最近オススメの給与計算ソフトは?」とよく質問されるのでクライアントの意見を踏まえ給与計算ソフトの調査・比較をしてみました。

なお、休憩時間と併せて誤解が多いのが休暇の種類と付与の方法です。休暇関係については以下の記事でまとめていますのでご参考下さい。

【まとめ】有給休暇や産休など法定休暇に関する義務の内容一覧
人事担当者が知っておくべき休暇・休業制度の種類、法定・法定外の休暇制度、有給・無給の可否について解説します。

また、就業規則の中でも休憩時間については適切に定めておく必要があります。以下の記事のチェックポイントをご活用下さい。

就業規則の見直しに役立つ99のポイント(第6回・休憩/休日/休暇/休業)
「就業規則の見直しに役立つ99のポイント」、今回は第6回・休憩/休日/休暇/休業編です。特に休暇については実際多くのご質問をいただきます。その理由を含めて今回はご紹介します。
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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

中小企業の人事労務担当者の育成を中心に業務展開。専門記事の執筆やセミナー・社内研修の講師業も実施。

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