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最近はパワハラ対策のご相談が増えていますが、国の調査結果によると3人に1人がパワハラを受けた経験があると回答しています。会社が早急にパワハラ対策に取り組まなければならない理由を解説します。
パワハラの相談件数
厚生労働省は様々な労働相談に対応するため、総合労働相談コーナーを設置しています。
労働相談というと、賃金引き下げなどの労働条件、退職・解雇関係の問題に関する相談が多いと思うかもしれませんが、実は、以下のグラフのとおり、圧倒的に多いのが、いじめ・嫌がらせ、いわゆるパワハラに関する相談です。
以下は本来であればグラフが表示されます。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。
関連:労働相談は14年連続で100万件超、いじめ・嫌がらせが最多
パワハラの経験・3人に1人が経験あり
厚生労働省が行った「平成28年のパワハラの実態調査」によると、過去3年間で「パワハラを受けたことがある」と回答した人は32.5%、「パワハラを見た・相談を受けたことがある」という人は30.1%となっています。
この数値は、前回の平成24年調査から上昇しています。
- パワハラを受けたことがある:32.5% 、H24調査では25.3%
- パワハラを見た・相談を受けたことがある:30.1% 、H24調査では28.2%
会社がパワハラに気づかない理由
そして、会社として知っておきたいのが、パワハラを受けたと感じた人のその後の行動です。
厚生労働省が行った平成28年のパワハラの実態調査「過去3年間にパワハラを受けたと感じた者におけるその後の行動」によると、回答結果は以下の図のとおりですが、特徴的な点は以下のとおりです。
- 4割の人が、パワハラを受けたと感じても何もしなかった
- 次に多かったのが、家族や社外の友人に相談した
つまり、この結果からわかるのは、会社は受け身で待っていてもパワハラには気づかない、ということです。
相談窓口を設置している会社でも、その相談窓口の利用者はたった3.5%です。
会社として相談されたことがない・聞いたことがないといっても「実態としてパワハラがないとは言えない」ことがこの結果からよくわかります。
まさしく、王様の耳はロバの耳、という状態です。
そして「会社を退職した」割合は12.9%と、社内の同僚や上司に相談する割合とあまり変わらないことがわかります。パワハラを受けた人は静かに会社を退職していくわけです。
パワハラが会社に与える影響
そんな会社として気づきにくいパワハラの問題ですが、以下の図は「パワハラが職場や企業に与える影響」という質問への回答を示したものです。
職場の雰囲気が悪くなる、従業員の心の健康を害するという回答が多く、特に影響はないと考えている企業は、上の図では見えにくいですが、0.2%です。
そして、実態調査報告書の中にはこの質問に関連する興味深い調査結果も示されています。
パワハラの予防・解決の取組を経営上の課題として、
- A群:非常に重要である・重要であると回答した企業
- B群:どちらともいえない・あまり重要ではない・全く重要ではないと回答した企業
とした場合、B群は、パワハラが職場や企業に与える影響について先程のすべての項目で割合が低くなっており、特に差が大きいのは以下の項目となっています。
- 企業イメージが悪化する
- 職場の生産性が低下する
- 訴訟などによる損害賠償など金銭的負担が生じる
このA群とB群の比較調査結果を見て、妙に納得してしまいました。
つまり、パワハラを甘く見ている会社は、経営上のリスクにも鈍感ということです。
これだけパワハラが世間に認知され、労災請求も増え、裁判まで起こっているのに、パワハラを「どちらともいえない・あまり重要ではない・全く重要ではない」と回答できるわけですから。。。
まとめ
パワハラなどハラスメントの話をすると「うちの会社ではありえない」という人がたまにいます。犯罪者が逮捕されたとき「あの人に限って・・・」といった言葉に似ているとお思いませんか?
内容の軽さ・重さに関わらず、社内でパワハラと疑われるような事態がないかは常にチェックしておきたいところです。
悪評というのは広まりやすいものであり、放置すればするほど状況は悪化します。
調査結果によると、パワハラを受けた人のその後の行動として、休職(しばらく会社を休んだ)と退職を合計すると約20%となっています。
影響が見えるようになってきてから対策をしても手遅れです。
私のクライアントでも、実際に複数人の退職があってはじめてパワハラに近い実態があったことが発覚し、早急に具体的な対応に取り組んだことがあります。
パワハラの問題を他人事のように考えている会社があるとしたら、それはかなり危機感の欠如した会社と言わざるを得ないです。
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
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