中小企業の経営者は要注意!残業代ゼロどころか大幅アップ???

高度プロフェッショナル労働制、残業代ゼロ制度、第一次安倍政権で話題となったホワイトカラー・エグゼンプション、呼び名は様々ですが、大きな話題になってますね。

これは1/16に開催された厚生労働省の審議会(労働政策審議会労働条件分科会)の内容ですが、人事の専門家としては、やはり報道を鵜呑みにするのではなく、きちんと発表された資料を確認すべきです。

ということで、第122回労働政策審議会労働条件分科会資料を見てみると、厚生労働省がどうしても名称を変更したい「高度プロフェッショナル労働制」(厚生労働省からしたら残業代ゼロ制度とは言いたくないでしょう)よりも前に、気になる部分が。。。

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残業代は1.25倍とは限らない?

時間外労働に対する割増賃金、いわゆる残業代ですが、平均賃金の1.25倍以上というのはよくご存知かと思います。

しかし、これは一律1.25倍ではなく、条件によってこの割増賃金率が異なるのはご存知ですか?

その条件というのは、時間外労働が月60時間を超えた場合であり、60時間を超えた分については平均賃金の1.5倍以上にしなければなりません。これは労働基準法第37条ただし書きによるものです。ただし・・・と続いている条文だから、ただし書きと言います。法律用語というより慣例なんでしょうか?

労働基準法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
ただし、当該延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

つまり、月70時間残業したとしたら、70-60=10時間分は平均賃金の1.5倍、残り60時間は1.25倍となるわけです。

しかし、これは以下の規定により、経過措置として中小企業は現在非適用になっています。

労働基準法第138条
中小事業主(説明は略)の事業については、当分の間、第37条第1項ただし書の規定は、適用しない。

いよいよ中小企業も残業代1.5倍?

これまでの経緯を書いてきましたが、今回の報告書骨子案では、まさに1ページ目に以下の記載がありました。

いつから開始するのかは書いていませんが、早く中小企業にも1.5倍を適用したいという厚生労働省の意思を感じる報告書案です。

報道だけを鵜呑みにすると、残業代ゼロの話ばかりをしているように感じてしまいますが、やはりきちんと裏を取る作業は必要ですし、何より実際の文書を見てみることで、今後の行政の方向性がよく見えます。

長時間労働抑制策
–今後の労働時間法制等の在り方について(報告書骨子案)の1ページ目より引用

  1. 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予の見直し
    • 中小企業労働者の長時間労働を抑制し、その健康確保等を図る観点から、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率を5割以上とする労働基準法第37条第1項ただし書きの規定について、中小企業事業主にも適用することが適当。
    • 中小企業の経営環境の現状に照らし、上記改正の施行時期は平成●年とすることが適当。

今後の対応はどうすべきなのか

昨今のブラック企業問題に限らず、企業は、今後より一層の労働時間の短縮を求められます。これは間違いありません。

そして、それは行政に求められるというよりも、社会的に求められることになります。労働時間のマネジメントすらできない企業は、今後優秀な人材にそっぽを向かれる、社会的に糾弾される、それくらいの危機感を持っておくべきです。

もちろん、残業代を含む形にした固定給や変形労働時間制などの方法を駆使することで対応はできますが、根本的な対策も同時に行っておくべきです。

そのためには業務の棚卸しと人員配置の見直しが必要となりますが、これは時間も労力もかかることです。だからこそ、社会的要請を受ける前に自ら取りかかっておくというのが、本来あるべき経営のリスクマネジメントです。

時間をかけた対応、とりあえずの対応、いずれにしても先送りすることが最もしてはいけない選択になりますので、もし対応にお困りであれば、お問い合わせください!

2015/2/24追記

労働基準法改正の要綱案が示されました。以下の記事で解説していますので、こちらもぜひご参考ください。

いよいよ中小企業も対象?法改正により残業代50%上乗せ!
これまで中小企業が猶予されてきた残業代1.5倍について、法改正により月60時間を超えた時間外労働には中小企業も課されることになりました。今回はその解説と今後の対策について説明します。

参考

中小企業の経営者は要注意!残業代ゼロどころか大幅アップ???
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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

最近は記事の執筆やセミナー講師の依頼にも積極的に対応。仕事内容がわかりにくいとよく言われるので、業務内容・実績を紹介するページを作成しました!

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