いよいよ中小企業も対象?法改正により残業代50%上乗せ!

労働基準法の改正案となる方針が厚生労働省より示されました。

専門的に言うと、厚生労働省が審議会に法律案要綱を諮問したということになりますが、内容はほとんど変わることはありません。

今回発表された方針は多くの改正事項を含みますが、今回は、その中で特に中小企業にとって影響のある割増賃金、一般用語でいう残業代の増加について紹介します。

今回の法改正では、ホワイトカラー・エグゼンプション、すなわち残業代ゼロのことばかりが注目されていますが、その中には今回のような中小企業の負担が大きくなる政策も盛り込まれています。法改正など経営に直結する今後の動向を把握するときには、全体像をきちんと把握しておくことが必要です。

2016/4/7追記

この労働基準法改正案は平成27年度通常国会に提出され、当初は平成28年4月より施行予定でした。

しかし、今現在、衆議院で審議はストップされています。

この改正案は大きな議論となっている高度プロフェッショナル制度を含むため、きっと夏の参議院選挙が終わってからでしょうね。。。

続報が入り次第、このサイトでも情報を発信していきます。

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中小企業が免除されてきた残業代1.5倍

時間外労働に対する割増賃金、いわゆる残業代ですが、これは平均賃金の25%増、つまり1.25倍以上というのは、多くの方がご存知かと思います。

しかし、これは一律1.25倍ということではなく、条件によってこの割増賃金率が異なっていました。

既に大企業には適用されていたのですが、時間外労働が月60時間を超えた場合であり、60時間を超えた分については、平均賃金の50%増、つまり1.5倍以上にしなければなりません。

例えば、月70時間残業している社員がいたとしたら、その社員には、70-60=10時間分は平均賃金の1.5倍、残り60時間は1.25倍を支払わなければならないわけです。

この根拠は以下の条文によります。

労働基準法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

そして、中小企業が免除されてきた根拠は以下の条文です。今回の改正方針では、この規定を削除するということで、それによって中小企業も大企業と同じ扱いをするということです。

労働基準法第138条
中小事業主(中略)の事業については、当分の間、第37条第1項ただし書の規定は適用しない。

いつから残業代1.5倍になる?

今回発表された方針によると、平成31年4月となっています。

つまり4年後です。4年後というと随分先のように感じるかもしれませんが、それまでに月60時間以上の残業を行っている中小企業は、時間をかけて残業時間を減らしなさいというメッセージでもあるわけです。

意外と難しい残業対策

この残業という問題は、実は、意外とすぐに減らすことが難しいものです。

組織側にとっては、解雇規制の厳しい中では雇用調整の代替として果たされている部分があります。

社員にとっては、残業代を含めた形で既に生活費として考えている部分もあるため、残業をなくします、もちろんその分の残業代はなくなります、となってしまうと、生活費として当てにしていた給料が減ってしまうわけです。

私自身も、残業なんて、経営者がやめようと言えばすぐになくせると思っていた時期がありましたが、業務量の調整や人員配置など、しっかりとマネジメントを行わなければ、大きなトラブルに発展するということを身をもって知りました。

例えば、社員が持ち帰り残業をしたりすると、労働時間の把握が困難になり、残業代だけの問題だけではなく、健康問題など企業の安全配慮義務の問題も関係してきます。

いずれにしても、まずは社員それぞれの労働時間がどうなっているか、現状把握から始めることが大切です。

そして、残業という概念を正しく理解しておくことが必要です。

残業代の未払いは巷のブラック企業問題でクローズアップされており大問題ですが、意外と残業代を払いすぎている中小企業も多いというのが実態であり、以下の記事で解説していますのでご参考ください。

残業代の仕組みと計算方法を徹底解説! 実は9割以上の会社が間違っていたり・・・
今さら聞けない残業代の基本と計算方法、所定労働時間と法定労働時間の違い、残業代の計算を間違ってしまうとどれほど大きな金額になってしまうかという点について徹底的に解説します。

また、管理職自身の残業代についても未だに誤解が多い状況であり、以下の記事で解説しています。

管理職だから残業代が不要? という疑問に法的・裁判例を含めて解説
未だに多くの企業では管理職=残業代なしと誤解されています。今回は、労働基準法の定める管理監督者と管理職の違いを徹底解説し、参考になる裁判例も紹介します。

なお、2015年の労働基準法改正に関するポイントをまとめた記事は以下をご参考ください。

労働基準法改正案(2015年)のポイント(まとめ)
2015年度の労働基準法改正案は、中小企業への影響が大きな内容を多く含みます。例えば、ホワイトカラー・エグゼンプションとも呼ばれた高度プロフェッショナル制度や、これまで猶予されてきた時間外労働の割増賃金率(1.5倍以上)、年5日に有給休暇義務づけ、など。改正案のポイントをご紹介します。
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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

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