新卒の離職率はなんと3〜5割・不動のワースト3の業界は? H28発表版

こんにちは。離職とは縁がなくなった福岡の社労士・安部敏志です。

厚生労働省が、2016年10月25日に、「新規学卒者の3年以内の離職率」に関する平成28年度の最新統計を発表しました。

新卒の3人に1人は3年以内に辞めるとよく言いますが、統計はこの状況が変わっていないことを示しています。

今回は、人材不足と言われる状況の中で、この新卒の離職率(3-5割)の高さに中小企業としてどう対応すべきかというテーマで書いていきます。

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離職率の定義

まずは離職率の定義を確認してみます。

離職率は、ある時点で仕事に就いていた労働者のうち、一定の期間(たとえば、ひと月、または1年や3年)のうちに、どれくらいの労働者がその仕事を離れたかを比率として表す指標。

この値が極端に高ければ、労働者がその仕事に定着しにくく、入れ替わっていくことが常態化していることが含意され、逆に極端に低ければ、労働者がその仕事に定着し、転職や産業間の労働力移動が行われにくくなっていることが示唆される。

Wikipedia「離職率」より

よく3年以内の離職率という数字が使われますが、この定義によると、

離職率というのは、一定の期間内でどれくらいの割合の社員が辞めたのかを示す率

ということになり、別に期間が3年と決まっているわけではありません。

ブラック企業の見分け方として離職率がよく注目されますが、それは、離職率が高い=定着率が低い、つまり社員を使い捨てにする、と考えられるためです。

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3年以内の離職率に関する統計結果

それでは、厚生労働省より発表された「新規学卒者の3年以内の離職状況」を見ていきます。

新規学卒者の卒業後3年以内離職率

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新卒の3人に1人は3年以内に辞めるとよく言われますが、それはこの統計からわかります。

確かに大卒の場合の3年以内の離職率は31.9%と、まさに3人に1人です。

そして短大や高卒になると10人のうち4人、中卒になると10人のうち6人が3年以内に離職するという高い数値になっています。

ここで興味深いのは、いずれも1年以内の離職率が最も高いということです。

大卒の場合、3年以内の離職率は31.9%ですが、実はそのうちの4割を占める12.8%は1年以内に離職しています。

ということは、会社側の視点から見ると、まず最初の1年に離職させない対策を行うことが最重要となるわけです。

事業所規模別・卒業後3年以内離職率

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次に、事業所の規模別の離職率を見てみます。

規模が大きくなると離職率が下がっていきます。

この点は多くの方がイメージどおりかもしれませんが、よく考えてみると、なぜ規模が大きくなると離職率が下がるのでしょうか?

私が想像するに、人数が多いことで、人間関係が多層化し、結果的にフォローが行き届く、これに尽きるということではないでしょうか。

どんな組織でも、良い人もいれば悪い人もいます。

ただ、人数が多いと、よほど直属の上司でない限り、その人と付き合わなくても日々の仕事をこなすことはできますし、仮に嫌なことがあっても、フォローしてくれる人が必ずいる、そんなところかと推測します。

その一方、5人未満の会社だと、なんと59.0%とかなり高い数値を示しています。相性の合わない人がいたり、嫌なことがあったりしても、人数が少ない会社だと逃げることができません。そのようなことから、離職という結果につながるのではないでしょうか。

もちろん、離職率を下げるための対策を行っている企業はたくさんあると思います。そして、そんな企業は離職率も低いし、優秀な人材も確保できているでしょう。

産業別卒業後3年以内離職率のうち離職率の高い上位5産業

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少し図が見えにくいので、離職率の高い上位5産業を順番に表にします。

宿泊業・飲食サービス業 50.5%
生活関連サービス業・娯楽業 47.9%
教育・学習支援業 47.3%
医療・福祉 38.4%
小売業 37.5%

上位3業種は、昨年と変わらず、安定の「宿泊業・飲食サービス業」、「生活関連サービス業・娯楽業」、「教育・学習支援業」です。

なんと、宿泊業・飲食サービス業の離職率は50.5%と2人に1人は3年以内に離職しています。

第2位の生活関連サービス業・娯楽業、第3位の教育・学習支援業についても50%は切っていますが、ほぼ2人に1人と言っても良い数値です。

ちなみに、生活関連サービス業・娯楽業というのはわかりにくいかもしれません。

この業種分類は、標準産業分類に基づくことになっており、この生活関連サービス業・娯楽業には、かなり雑多になりますが、洗濯、理容美容、旅行業、家事サービス、冠婚葬祭業、結婚相談業などが含まれています。

参考

新規学卒者の離職状況(平成25年3月卒業者の状況)

離職率を低くするための方法とは?

それでは、会社として離職率を低くするためにはどうすべきなのでしょうか?

今や人手不足の時代です。人材を活かすためには、採用に期待するよりも、今の人を離職させない対策を考えるべきです。

簡潔に言えば、社員が今の職場に満足していれば、わざわざリスクをとって転職することはありません。

では、どのような職場であれば、社員は満足するのでしょうか?

「理想の職場」というテーマでのアンケート結果を以前紹介しましたが、その結果で明らかになったのは、賃金、有給休暇といった労働条件面以上に、社内の人間関係、風通しの良さといった部分が職場には求められているということです。

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つまり、経営者や管理職が重視すべき点は、社内のコミュニケーションをいかに円滑にするかという点になります。

来年1月からは育児・介護休業法令の改正施行により、事業主にはハラスメント対応措置が義務づけられます。

セクハラからはじまり、今や会社は、パワハラ、マタハラ、パタハラといったハラスメント対策が重要視されています。

この事業主の措置の中には、事業主による対応を明示し周知する文書、相談窓口の設置などがあります。

ハラスメントはダメですよ、と口で言うだけでは効果は見込めません。

ハラスメントに対しては、会社として悪質な場合は処分も辞さないと断固たる決意を示す必要があるわけです。

そして、その処分を行うためには、就業規則でもきちんと規定しておかなければならないわけです。

就業規則による根拠のない処分は無効と判断されます。

人手不足という今だからこそ、この機会にきちんと就業規則を見直し、今いる社員を手放さないようにしましょう!

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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

最近は記事の執筆やセミナー講師の依頼にも積極的に対応。仕事内容がわかりにくいとよく言われるので、業務内容・実績を紹介するページを作成しました!

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