100人超の企業は要注意の障害者雇用納付金とは?

こんにちは。福岡の社労士・安部敏志です。

先日、50人以上の企業に義務づけられている障害者の雇用について、その基礎知識である障害者雇用率について解説しましたが、今回は、100人超の障害者雇用率を達成できない企業に対して、いわば罰金的に徴収する納付金、上回る企業に支給される調整金について解説します。

50人以上の企業が抑えるべき障害者雇用義務と障害者雇用率
今回は、平成28年4月より施行された改正障害者雇用促進法を契機に、50人以上の企業に義務づけられている障害者の雇用、その基礎知識である障害者雇用率について解説します。
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障害者雇用納付金

先日の記事の繰り返しになりますが、現在は、50人以上の企業に少なくとも障害者の雇用が義務づけられています。

これは、現在の民間企業の障害者雇用率が2.0だからです。

この障害者雇用率2.0%というのは、平成25年4月に引き上げられたもので、それまでは1.8%でした。つまり、それまでは従業員56人以上の企業に義務づけられていたわけです。

そして、現在、常用労働者100人超の企業は、法定雇用率を未達成の場合、障害者雇用納付金が徴収されます

念のためですが、100人超というのは、100人を超えるという意味で100人は含みません。また、101人以上というのも違います。短時間労働者を0.5人と数えるので、正しくは100.5人以上ということになります(変な表現になってしまうので100人超と言っているのでしょう)。

この障害者雇用納付金制度の目的は、厚生労働省ウェブサイトによると以下のとおりです。

障害者を雇用するためには、作業施設や作業設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要となるために、健常者の雇用に比べて一定の経済的負担を伴うことから、障害者を多く雇用している事業主の経済的負担を軽減し、事業主間の負担の公平を図りつつ、障害者雇用の水準を高めることを目的として 「障害者雇用納付金制度」が設けられています。

この徴収された納付金をもとに、以下で説明する調整金や納付金が支給され、助成金にも利用されているということです。

この仕組みを簡単に言えば、

法的義務に従わない企業からは、お金を強制的に集め、義務以上を果たす企業にはご褒美を上げる

という仕組みを作っているわけです。

なお、平成27年3月までは、この納付金の対象となっていたのは、常用労働者200人超でした。こちらも障害者雇用率と同じように年々変わりますので、総務・人事担当者は注意が必要です。

障害者雇用納付金の額

では、実際に障害者雇用納付金の徴収額がいくらかというと、1人当たり月額5万円、減額特例が適用される場合は、1人当たり月額4万円になります。

1人当たり、月額ということに注意してください。

例えば、常用労働者数200人の企業で、1人も障害者を雇用していない場合は、本来の雇用義務が4人となるので、毎月20万円(要件を満たせば16万円)、年額にすると240万円(192万円)の納付金が徴収されるということです。

なお、月額4万になる減額特例が適用される要件は、申告対象年度の12か月間に 200人以下の月が8か月以上ある事業主です。

障害者雇用調整金

次に、納付金と真逆の、ご褒美的な仕組みである障害者雇用調整金と報奨金について解説します。

障害者雇用調整金は、常用労働者数が100人を超える事業主で障害者雇用率(2.0%)を超えて障害者を雇用している場合は、その超えて雇用している障害者数に応じて1人につき月額27,000円支給されるものです。

例えば、常用労働者数101人の企業の場合は、障害者の法定雇用者数が2人になります。この企業で3人の障害者を雇用していれば、月額27,000円が支給されますし、5人雇用していれば月額84,000円支給されることになります。

報奨金

報奨金は、常時雇用している労働者数が100人以下の事業主で、各月の雇用障害者数の年度間合計数が一定数を超えて障害者を雇用している場合は、その一定数を超えて雇用している障害者の人数に21,000円を乗じて得た額が支給されるものです。

この一定数というのは、各月の常時雇用している労働者数の4%の年度間合計数又は72人のいずれか多い数となっています。

つまり、障害者を多数雇用する中小事業主が対象ということです。

その他・特例調整金・特例報奨金

なお、この他に、在宅就業障害者または在宅就業支援団体に対して仕事を発注した場合に支給される在宅就業障害者特例調整金や在宅就業障害者特例報奨金というものもあります。

詳しくは、ご自分で調べるか、業務として依頼される場合はお問い合わせください。

申告申請の期限・納付・支給時期

最後に、実務的な部分を解説しておきます。

まず、常用労働者が100人を超えるすべての事業主に申告義務があります。

厳密には100人を超える月が5か月以上となる場合に申告義務が発生するのですが、「年度途中の事業廃止等の場合は5か月以上でなくても申告が必要となることがあります」という注意書きもあるため、念のため問い合わせることをオススメします。

申告期限、納付金の納付期限、調整金等の支給時期は以下のとおりです。

申告期限:4月1日〜5月16日
納付期限:全納の場合5月16日
調整金等の支給時期:10月

今回の解説のまとめとして、以下のイメージ図を参考に、さらに具体的な手続きについては、以下のリンクをご確認ください。

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参考

障害者雇用納付金(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)

なお、平成28年4月より、改正障害者雇用促進法に基づき、企業は新たに、障害者に対する差別の禁止、合理的配慮、苦情処理・紛争解決援助を求められております。詳しくは以下で解説していますでのご参考ください。

改正障害者雇用促進法の3つのポイントを詳細に解説!
平成28年4月から義務づけられた改正障害者雇用促進法について既に対応済ですか?今回は改正内容のポイントについて指針・Q&Aを活用して詳細に解説します。

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詳説 障害者雇用促進法―新たな平等社会の実現に向けて」は障害者雇用政策の歴史、裁判例、障害者雇用促進の解説、障害者基本法・障害者差別解消法との関係、これからの障害者雇用政策など多岐に亘る内容を含んだ本です。特に私が驚いたのは、法改正を担当した厚生労働省の課長が執筆していることです。

特にP320の脚注では以下のように記載がありますが、その思いはよくわかります。

政策形成過程はマスメディアが絵解きするほど単純な図式にはなっていない。政策形成過程に関わるプレイヤー(行政実務者だけでなく審議会委員等を含む)が、七転八倒、試行錯誤して議論を収束させていることを広く理解してほしいとの思いが筆者にはあった。

企業の総務・人事担当者がここまで理解する必要はありませんが、専門家なら一読の価値がある良書です。

100人超の企業は要注意の障害者雇用納付金とは?
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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

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