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人事評価制度がない→人事評価を行っていないというのは間違い

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「うちの会社では人事評価を行っていない」という会社は多いですが、人事評価制度がないから人事評価を行っていないというのは間違いです。

最近は、職務評価や人事評価制度、等級制度の見直しなどのご相談が多く、社労士業というより人事コンサルタント業務が中心になっています。。。

「人事評価制度がない = 人事評価を行ってない」は間違い

最近は人手不足もあって、既存の人員の生産性を上げるか、有効的に活用するかといった視点から、人事評価制度を構築したい、または見直したいという会社が周りに増えており、そのようなご相談をいただいております。

その際、よく「人事評価をこれまで行ったことがない」と言われます。特に、人事評価制度をこれから構築したいという会社からそのように言われるのですが、それはおそらく間違いです。

人事評価制度がないというのは、

  • 制度として書面化されていない
  • 制度として存在することが周知されていない

ということですが、だからといって、人事評価を行っていないことにはなりません。

人事評価を行っていないというのは、以下のような状況であればありえます、理屈としては。

  • 毎年の昇給率は社員全員が同じ、またはなし(昇給しない)
  • 賞与・ボーナスの額も社員全員同じ
  • 昇進の年数も社員全員同じ

ただ、このような状況がありえるのは、おそらくかなり設立年数の若い会社か、または社員全員が同じ業務をこなした上で、同じ業績を上げているというだけのはずです。。。

人事評価制度とは

そもそも人事評価制度とは何なのかという点から理解しておく必要があります。

人事評価制度を扱った書籍は多いのですが、人事評価制度の目的の部分から系統立ててきちんと説明している良書として、「人事評価の教科書」はオススメです。

その「人事評価の教科書」の中では以下のように定義されています。

人事評価とは、企業の事業運営を円滑に推進するための経営権の一つであり、人が人をマネジメントするための手段の一つである

人事評価を実際にやってみて、やらなきゃよかったと後悔する声をよく聞きます。

人を評価するなんてナンセンスだという人もいますが、先程の定義を踏まえると、それは経営権の一つを放棄することになるだけです。

もちろん、当事務所では、人事評価に関心があるという企業でも、運用が無理だろうなと思う企業には積極的にはオススメしていません。問題が増えるだけなので。

実際はどの企業も人事評価を行っている

また、「人事評価の教科書」の中では、人事評価の運用について以下の2種類を紹介しています。

どちらが良い・悪いということではなく、一時期、成果主義が流行したこともあって、最近は公開型が増えてきているのは間違いありません。

  • 公開型評価(オープン主義評価モデル)
  • 非公開型評価(秘密主義評価モデル)

先程「人事評価制度がない = 人事評価を行ってない」は間違いであると書きましたが、要するに、「人事評価を行っていない」という会社は行っていないのではなく、「非公開型の人事評価を行っている」ということです。

では、なぜ、昔の主流が「非公開型評価(秘密主義評価モデル)」で、今の主流が「公開型評価(オープン主義評価モデル)」かというと、それは賃金制度の歴史に大きく関係してきます。

日本では長年年功主義的な賃金制度を採用してきました。年功主義というのは、簡単に言えば、勤続年数が重視されるという考え方です。

評価項目や評価基準をきちんと作って社員に明示する必要はありません。経験が増えていけば能力は培われていくという考え方だからです。

こういった歴史的な背景もあって、実際は非公開型評価を行っているにも関わらず、人事評価を行っていないという誤解が生じるわけです。

まとめ

冒頭にも書きましたが、最近は人事評価制度の構築や見直しに関するご相談が増えています。

ただ、実際にご相談に対応してみると、全く新しいことを始めなければならないと、個々の評価項目など各論のご相談ばかりを受けます。

しかも、様々な本やサイトで例示されている評価項目や評価シートを集めたりするのですが、参考にはなっても、それをそのまま用いてしまうと結局管理職も社員も負担が増えるだけです。

手順としては、今まで非公開で行ってきた人事評価の項目を公開型にスライドさせていくだけです。

ただ、それを公開しても良いのか、公開したら何が起こるか、評価者が評価を行うときに何に注意すべきか、そういったことを想定しながら進めていかなければなりません。

非公開→公開の中で、必ず評価者が人事評価を行う上で未熟な部分が顕在化してきます。評価者を教育しながら進めていく必要もあります。

人事評価制度を導入したいとご相談を受けても、状況をお聞きして、今は不要ですよと助言することが実は多くあります。

公開型評価が良くて、非公開型評価が悪いわけではなく、それぞれメリット・デメリットがあります。

会社の状況によってどちらが良いのかを考えることが一つの経営方針だと思いますよ。

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