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管理職層の不足という悩みを聞くことが最近多いのですが、管理職を希望しない人が61%という調査結果もあり、会社としてこの現状にどう対応すべきなのか、検討に値する人事制度を含めて紹介します。
管理職に昇進したいと思わない人が61%という現状
平成30年版の労働経済白書にまとめられている「管理職への昇進希望の有無」に関する調査結果は以下のとおりです。
- 管理職に昇進したいとは思わない:61.1%
- 管理職以上(役員含む)に昇進したい:38.9%
この調査対象は、現在、役職に就いていない職員や係長・主任相当と回答した人ですが、なんと6割を超える人が管理職への昇進を希望していないことがわかります。
「希望しない人に管理職を任せる必要はない」という考え方はあるかもしれませんが、企業の中枢を担う管理職の選定に際して希望者が少ないということは、選定の母数が少ないということです。
また、管理職を希望しない人であっても、会社側から見ると、能力があり、管理職として期待したい人材もいるかもしれません。
管理職に昇進したくない理由のトップは「責任が重くなる」
6割を超える人が管理職への昇進を希望していないわけですが、「管理職への昇進を望まない理由」の上位5つは以下のとおりです。
- 責任が重くなる
- 業務量が増え長時間労働になる
- 現在の職務内容で働き続けたい
- 部下を管理・指導できる自信がない(同率で2項目)
- 賃金が上がるが、職責に見合った金額が払われない
なお、回答に際しては上位5つの複数回答となっています。
以下は本来であればグラフが表示されます。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。
「責任が重くなる」「現在の職務内容で働き続けたい」といった働き方に対する個人の意思に基づく理由がある一方で、長時間労働、マネジメント能力不足、処遇改善といった会社の雇用管理や能力開発に関連する理由もあります。
「業務量が増え長時間労働になる」「賃金が上がるが、職責に見合った金額が払われない」というのは、率直に言えば、会社で管理職になったら損をすると従業員が考えているわけです。
こんな風に従業員に思われている会社には未来がないでしょう・・・
同白書の中でも、この調査結果について以下のようにまとめられています。
現在、管理職として就労している者の悩みでも、「部下の人事評価が難しい」「職場の又は自分の業務量が多すぎる」「部下が自分の指示通りに動かない」といった雇用管理や能力開発に関連する悩みが挙がっていたことも踏まえると、管理職の業務負担の見直し、能力開発、処遇改善に積極的に取り組んでいくことが重要である。
管理職の悩みについても、同白書の調査結果を踏まえて、以下の記事でグラフにしてまとめていますのでご参考ください。
関連:管理職の悩み上位3つは部下との関係と業務量(国の調査結果)
管理職以上の昇進を希望する理由のトップは「賃金が上がる」
次に、「管理職以上(役員含む)の昇進を希望する理由」の上位5つは以下のとおりです。
- 賃金が上がる
- やりがいのある仕事ができる
- 仕事の裁量度が高まる
- 部下を管理・指導する能力を向上させたい
- そのポストのステータスに魅力がある
なお、こちらの回答に際しても上位5つの複数回答となっています。
「賃金が上がる」が87.2%と最も高い理由となっており、「やりがいのある仕事ができる」「仕事の裁量度が高まる」と続いていきます。
「賃金が上がらなくてもやりがいのある仕事を与えれば大丈夫」という都合の良いことを考えてもダメということです。
実際に管理職になってみて、こんなはずじゃなかった・・・となるとモチベーションダウンになるでしょうし。
管理職を希望しない人が61%という現状に会社はどう対応すべきか?
最後にまとめとして、管理職を希望しない人が多い現状に会社はどう対応すべきかという点については、
- 管理職に就くことの魅力をより一層高めていく
に尽きます。
具体的には個々の企業によって順番は変わるでしょうが、先ほどの調査結果を踏まえると、管理職になれば、
- 賃金が上がる(職責に見合った金額が払われる)
- やりがいのある仕事ができる(業務の質として責任は重くなるが、業務量は変わらない)
- 仕事の裁量度が高まる
と従業員が会社に期待するような人事制度の設計を行うことであり、これに当てはまる人事制度の1つとして役割等級制度があります。
役割等級制度の構築は、以下のように会社・従業員双方にメリットがあります。
- 会社にとっては、期待する人物像が明確になる
- 従業員にとっても、会社がどんな役割を期待しているのかわかるので、自分自身の将来のキャリアプランを描ける
デメリット、というわけでもありませんが、実際にコンサルの中で「期待する人物像」の議論をしていると、意外と社長・役員・管理職間で同床異夢になっているケースが意外と多く、まさに喧々諤々の議論が必要になり、想像以上に労力がかかるという点です。
こういった議論こそが実は大事なのですが。最近は50-100名規模の中小企業に対して、役割等級制度の導入支援をするケースが増えているため、ご関心があれば、当事務所までご相談ください。
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
といった悩みを抱える企業の経営者・人事労務担当者向けに、公開型のブログでは書けない、本音を交えた人事労務に関する情報・ノウハウ、時期的なトピックに関するメールマガジンを「無料」で配信しています。
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